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プライベートバンカー・ウエルスマネジメント・ファミリーオフィス・エステートプランニング・資産税の専門家を目指すブログ-TaxAccounting&Financial Planning

一人医療法人を解散するときは…

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前回に引き続きというか、こちらが本題なのですが…

 

医療法人を解散すると大変らしいけど、うちはどうすればいいの…?とお客様に相談されました。

 

友人のお医者様から情報をもらったそうです。

 

「ええ、確かに大変ですよ、こないだも対策を考えましょうって話したじゃないですか?」

出資持ち分の定めのある医療法人の場合、解散時に残余財産を社員に分配すると配当所得となります。

 

上場株式ではないので総合課税されます。最高税率は50%。

 

だから、まずは退職金で払うのを前提に考えることになります。

 

最終事業年度に理事長に退職金を支払って解散します。

 

退職金として支給できるのは、最終の役員報酬月額×在任年数×功績倍率です。

 

役員報酬の月額が300万円、在任20年、功績倍率2倍とすると、1.2億円の退職金となります。

 

これで残余財産がなくなって、法人の財産がからっぽになって解散、配当所得課税なし…

 

退職所得として退職所得控除額を引いて1/2の分離課税、最大でも25%の税率です。

 

めでたし、めでたし・・とはなりませんよ、残念ながら。

 

最終年度に大赤字ですよ、欠損金切り捨てです。もったいない…

 

節税を考えると、今から準備しておかないといけません。

 

そうならないために、生命保険の登場です。

 

引退する年度に解約するように設計して解約返戻金をもらえるタイプの保険に入ります。

 

解約返戻金が益金になって、一方で退職金の損金と相殺できるようにしておけば、欠損金の切り捨て枠が少なくて済みます。

 

退職金の支給を目的に保険に入るのだから、別に理事長先生を被保険者ではなくて、他の若い理事の方でも結構です

 

…とここまで説明したところで、理事長先生はぽかーんとしています

 

いまいち、この節税スキームは理解できなかったようです。

 

まあ、結局はお客様は出資額限度法人の医療法人の話を聞いてきたらしく、残余財産を寄付しないといけないと思ったようです。

 

経過措置型だから、今のところその心配はないですよ…とお話をしたら納得していただけました。

 

先走って話をせずに、きちんと相手のお話や心配をうかがってから説明しないといけないね

 

という教訓でした。

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