税理士など士業の業務で悩みどころになるのが、「広く浅く学ぶのか」、「一つのことを掘り下げるのか」という話になると思います。
僕自身は非常に飽きっぽい人間だと自覚しているので一つのことを掘り下げるのは難しいと自分のことは分析しています。
T型人材とI型人材
約20年前にFP資格を受験していた頃は「I型の人間よりもT型の人間になるべき」とどこかで知って、まずは社会人として広く浅く世の中を知ることが大事なんて思っていました。
大学をでてからTACの自習室で引きこもって税理士試験の勉強していただけですから、そういった社会人としての一般常識についてはコンプレックスを元々感じていたわけです。
自分にとってFP試験の勉強は広く浅く経済や社会を知れた機会で、FP資格との出会いは感謝しかありません。税理士という専門軸がありつつ、FPとして幅広い知識と包括的なアプローチでT型人材を目指してきました。
T字型の人材を目指してきた結果、雑学があると言われることも多く、もともと好奇心が人一番強い性格だったのか、自分のことながら広く浅く知っていると思います。
これって実は営業向きで、もともと口下手で話が続かない性格なのに、なぜか仕事になるとお客さんに話題を合わせられるようになったというのはこういったT字型人材の成果なのかもしれません。
でも専門家としてはT字型人材の時代も終焉を迎えているようにも思います。
インタネットの普及で、簡単なことはネットで調べることができる時代です。
広く浅い知識ではネットの情報に負けることになり、専門家ではない一般のサラリーマンや年金暮らしの年配の方でも専門的な知識を瞬時に知ることができます。
I字型もT字型も既に過去の遺物と化しているのです。単に知識を持っているだけではありがたがられることもなく、稼げない時代を迎えています。
それではこれからの士業、専門家はどう生きるのがいいのか・・・・
これから専門家としてどう生きるのか?
「君たちはどう生きるか」ではないですが、専門家として「私たちはどう生きるか」ということを考えたいと思います。
我々が生き残る道として二つを考えていますが、いずれにしてもどう差別化をしていくのか?という感じです。
I型人材からニッチ分野の専門家へ
1つ目は、一つの分野を深堀して、その分野の第一人者として差別化するという道です。いわゆるニッチャー戦略となります。
ニッチな分野を開拓して、その分野の第一人者となる形です。
選択と集中になりますからリスクも伴いますし、その分野のことを楽しんで学べるかどうかはまた別の話です。
T型人材からコンサル型の専門家へ
2つ目は、幅広い分野の知識を相手にあわせてアレンジやコーディネートすることで差別化する道です。
コンサルティングに近い仕事ですからなかなかAIやネットにはまだまだ難しい領域だと思います。
まずはヒアリングをして、ニーズをくみ取って、いろいろな選択肢を組み合わせて提案するというクリエイティブな仕事です。
どちらの専門家が自分向き?
どちらの道がいいのか?というと、一つ目の専門分野の第一人者になるというのも恰好良さそうに思えます。
でも、最初に書いたように自分の性格はどうしようもなく飽きっぽい。
次から次へと興味が湧いてきて、好奇心が首をもたげますから一つの分野を究めるのは自分には無理そうです。
元々T型人材を志向していたのであれば次はアレンジやコーディネートなどまでこなせる提案力の高いコンサル型の専門家にステップアップをするべきなのかと思っています。
つまり幅広い知識を持っているだけではなくて、組み合わせや最適な選択肢の提供などの提案力を高める必要があると思われます。
次は単なる知識だけではなく、思考力や問題解決力と提案力が稼げる士業の条件になるのかもしれませんね。