◆不動産管理法人の設立の目的
1.資産家の不動産を管理する同族法人の設立メリットとしては次のものがあります。
- 所得の分散による所得税の節税
- 収入の移転による相続財産増加の防止
- いざというときの納税資金準備
2.資産家の所得のうち、不動産管理会社を通すことによって管理料や地代家賃などの形でその一部を管理法人の収入に移すことができます。
また、さらに管理法人からその役員である親族に役員報酬の形で移転することも可能となります。
これにより、所得のうち超過累進税率の高い部分の所得を同族法人や親族に分散することで所得税の節税阿賀可能となるとともに、将来の相続財産である現金など金融財産の入金を抑制することが可能となります。
また、これらの分散させた所得を同族法人や親族名義でプールしておくことで将来における相続税の納税資金準備につながります。
◆所得分散の方法と管理方式
1.管理委託方式
不動産の所有者及び賃貸借契約の契約主体は資産家オーナーであり、管理法人はあくまでも個人資産の管理を行います。
そのため、管理法人で受ける収入は資産家オーナーからの管理委託料となります。
2.転貸方式(サブリース方式)
不動産の所有者は資産家オーナーですが、管理法人が資産家オーナーから所有物件を一括で借り上げ、家賃保証の形で家賃を管理法人から資産家オーナーに支払います。
そのため、管理法人で受ける収入は入居者からの家賃収入となり、この家賃収入と資産家オーナーに支払う家賃との差額が管理法人として実質管理料となります。
この場合、管理会社が空室時などの経営上のリスクを負うことになるため、管理委託方式に比べて実質管理料は高く設定されるのが一般的です。
3.不動産所有方式
不動産そのものを管理法人で所有して管理運営を行う方式です。賃貸物件の収入は建物の所有者に帰属するため、管理法人100%家賃を受け取ることになります。
個人の家賃収入が法人の収入に置き換えられ、土地に関する地代のみが残るので所得の分散効果としては最も高くなります。