税理士は税務の専門家です。
専門家といわれる職業では時に、専門分野に深入りしすぎるという罠があるように感じます。
我々は実務家であって、学者や研究者ではないのです。
クライアントにとって付加価値のないものを研究する必要はないと僕は思います。
研究するのであれば実務家としてではなく、趣味で研究すればいい。
プロフェッショナルというのはクライアントの利益を最優先する顧客志向であるべきだと思っているからです。
僕は「いいとこ取り」、「おいしいとこ取り」というのが好きです。
一つのことを深く掘り下げて重箱の隅をつつくような勉強の仕方はあまり好きではありません。
お叱りを受けるかもしれませんが、いろいろな学者や研究者の方たちの研究結果をクライアントにいかすこと、コーディネートするほうが自分にはあっていると思うからです。
イノベーションやブレークスルーは古いものの組み合わせから生まれるといわれます。
プロの実務家としては情報を収集し、スキルを磨いて、これらの知っている情報、すでにあるスキルを組み合わせてアウトプットすることが重要と思います。
税理士でも税務判断や経営助言のケーススタディが最も重要なトレーニングといえるかもしれません。
条文をいくつも知っている税理士は多くいます。
でも、どういうケースではどんな通達を用いるべきか、どのようなステージの顧客にはどんな提案が必要なのか…こういう思考のトレーニングを日常的にしている税理士はかなり少数派といえるのではないでしょうか?
知っていること、深く研究したということが賞賛されるべき結果を生み出すわけではなく、結果的にクライアントに利益をもたらしたことが最も称賛されるべきです。
そのために、専門家がはまる罠にはまらないようにしたいものです。