平成23年度税制改正(H23.11.30成立)により法人税率の引き下げが行われました。
これに伴い、相続税及び贈与税における自社株の評価方法において、評価差額(相続税評価額と帳簿価額との差額)に対する法人税額等に相当する金額の算定における割合も45%から42%に財産評価基本通達が改正されました。
この改正は平成24年4月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用されます。
取引相場のない株式の評価(非上場株式の評価)については、原則的評価方式として類似業種比準価額方式と純資産価額方式とがあります。
実際の評価にあたっては、会社の規模等に応じてこの2つの方式を折衷した形で計算されます。
今回の改正で影響がでるのは純資産価額方式となり、特に不動産などに含み益が多い会社の評価額に影響がでることになります。
『純資産額=(総資産価額-負債の合計額-評価差額に対する法人税額等に相当する金額)÷発行済株式数』
となりますが、株主からすれば株式の所有を通じて間接的に会社の資産を所有することとなるので、個人事業主が事業用資産を直接所有するのとバランスをとる必要があります。
そこで相続税評価額と帳簿価額との差額について、解散時に課税される税金相当分を控除できることとなっています。
今回の改正によって純資産額の計算上で控除できる金額が減少するため、含み益があるケースでは評価額が増加することになります。
4月以降に、土地等の簿価が低く含み益が多額に見込まれる非上場株式を贈与する計画がある場合には、評価額を試算したうえで前倒しでの実施を検討する必要あるかもしれません。
○国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/kaisei/120302/01.htm