会計事務所の担当者は、税務上リスクがありますね…なんていう言い方をすることがあります。
他意はないですが、税務調査で否認されるかもしれないよっていう一種の脅しです。
否認されるかもしれないので、とりあえずやめときましょうというのが本当の気持ちです。
そうするとお客様によっては、
リスクって何ですか…というような質問もきます。
リスクを取らないことのほうがリスクだ…なんてもっともらしいことを言う人もいます。
別にそういう意味で言っているわけではなく、暗にそういうグレーなことをごり押しするのはやめときましょうということを言いたかっただけですから、ここでいう「リスク」という言葉にはそれほどの重みはありません。
要は会計事務所からいわせると、税務署から目をつけられるようなことは面倒くさいからやめとけ、というプレッシャーでしかありません。
でも、租税回避や脱税に近いようなことについてはもちろんリスクがあります。
それは、無申告加算税や過少申告加算税などのいわゆる加算税や、利息にあたる延滞税などが追加で課されることがあるというリスクです。
さらに仮装や隠ぺいなどがあると過少申告加算税に代えて、重加算税という罰則が課されることがあります。
脱税は犯罪なので、それがどういう意味があるかはお分かりになると思います。
この辺はとても難しい見極めなのですが会計事務所がリスクがあるという表現をするときには次の2つがあると思います。
- 会計事務所の担当者が単に面倒くさいことになりそうだからリスクがあるといういい方をしている
- 通達や質疑応答集、過去の裁決事例などを勘案して通りそうにないという判断である
担当者から、「これリスクがあるからはずしておきました」とかいう話をされる時がよくありますが、きちんと話を聞かないと判断を誤ることにつながります。
税務署に対してリスクがないように安全な処理をすることは、お客様にとっては不利益になる可能性があります。
税務署からは目をつけられなくても、お客様から訴えられます。
税務訴訟のリスクと、税理士損害賠償のリスクとは実は表裏一体であるということなのです。