税理士試験には相続税法という受験科目がありますが、必須科目ではないので相続税法を全く勉強せず税理士になる人が多くいます。
相続税法は合格しにくい科目でもあるため、逆に受験して税理士になった人のほうが少ないのかもしれません。
そのため、相続税の財産評価についても実務についてから勉強するのがほとんどです。
しかも、相続税を標準業務としている税理士事務所も少ないため、教えてくれる人もいないし、なかなか経験を積めないというのが現実です。
それでは知識ゼロから相続税の土地評価を学ぶためにはどうすればいいのでしょうか?
不動産の法律用語が共通言語
相続税の土地の評価では何といっても不動産の法律用語が共通言語となります。
民法だけではなく、都市計画法や建築基準法などの法律にでてくるような用語については基本的な部分は抑える必要があるでしょう。
宅建士資格の挑戦が近道
資産税に強い税理士になるために有効な資格として宅建士資格があげられます。
民法や不動産関係の法規について一通り学ぶことができますし、Wライセンスで信頼感もアップします。
逆に宅建士の資格もなく、不動産に関する法律知識が不十分な税理士に相続税や譲渡所得などの申告を頼むのは自殺行為とさえいえます。
借地権って何?なんていう税理士はさすがにいないと思いますが、国税3法は法人税しか選択せずに資格を取得したようなケースでは借地権の理解がなく税理士になっている可能性は高いと思います。
借地権も奥が沼のように深く、理解なんて到底おぼつかないですが、知識レベルすら持ち合わせない新人税理士は結構いそうな感じがします。
借地権という超メジャーな用語でもそうなんですから、市街化調整区域とか用途地域とかは基本用語レベルでも知らない人はいそうな気がします。
宅建士は独学でも合格できる
自分は民法の知識から勉強したいと思っていたので、大原簿記学校の土日コースに半年通って勉強しましたが、宅建士は書店でも参考書や問題集が販売されており、基礎知識があれば十分に独学が可能だと思います。
これだけ まんが宅建士 [宅建業法編] 2017年度版 (日建学院「宅建士一発合格! 」シリーズ)
- 作者: 日建学院,小沢カオル
- 出版社/メーカー: 建築資料研究社
- 発売日: 2016/12/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
暗記物も多いため、1問1答の問題集を通勤時間などで繰り返し勉強するのもおすすめです。
こういった問題集は答えを隠して、机に向かってやりがちですが、実は、1巡目は答えを読んで理解したうえで、2週目以降で答えを隠して解くのがセオリーだと思います。
答えがわからないのに解くのはナンセンスで、問題演習は答案練習などの最終的な力試しで十分だからです。
基本書を数回読んで、答えを覚えるくらい1問1答をやり込めば、かなり理解も進むと思います。
2017年版 U-CANの宅建士 これだけ! 一問一答集【「要点まとめ」コーナーつき】 (ユーキャンの資格試験シリーズ)
- 作者: ユーキャン宅建士試験研究会
- 出版社/メーカー: U-CAN
- 発売日: 2017/02/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
次のステップは財産評価基本通達の理解
不動産の法律知識を覚えたら、次の段階は財産評価基本通達の理解になります。
土地の部分だけですから項目の数はそれほどないですが、実際に実務をやると土地それぞれ千差万別、十人十色です。
その個性ある土地を財産評価基本通達に当てはめて評価するというのが実務となるのです。
実務をやっている税理士であればいきなり財産評価基本通達を読み始めるなんてことはやりません。
実務のバイブルはこの本です。
大蔵財務協会の土地評価の実務が基本書になります。
この本をすみからすみまで読みこなして、理解できれば、あとは実際の土地にあてはめて評価をすればいい、、という感じになります。
現地確認、現地調査も非常に重要
実際に実務でやるには現地確認や役所調査なども重要になります。
私としては、この本がとても参考になったと思います。
現地確認の方法から、目の付け所までかゆいところに手が届く感じです。
現地確認、現地調査に絞るならこの本もおすすめです。
最終的には数をこなすしかない
税理士の業務のなかでも土地の評価は、何件やったか、どれくらいの事例に触れたかがものをいう分野になります。
いろいろなエリア、環境、形の土地の評価をこなして実務の経験値が増えていくそんな世界なのです。
1件目はてこずっても、10件、100件とやるうちに見えてくるものもあります。
私も、たまに10年前くらいにやった相続税の資料を読み返すことがありますが、とても自分で見るにたえません。
穴があったら入りたい気分、でもこれが成長の証なのでしょうね