今週は外部研修からの直帰が続いたので、多少ゆとりのある感じで過ごせましたが、実際には家に持ち帰りもあって結構大変で、昼食も2日続けてブラックサンダーだけという感じでした。ギリギリの移動で小腹がすいたときにちょっと食べるには最適です。
移動と直帰で平日も読書の時間がとれたので、 復習がてら読んだ本の感想と解説を書きます。
人生100年時代の人生戦略を考える
読んだ本は、2017年に大ヒットしたビジネス書、LIFESHIFTですが、書店で見てもなかなか分厚いし、字が多いので手に取っても購入までは至らずにおりました。
でも内容的には気になるし、先日FP協会の研修でも取り上げられて興味はもっていた本、人生戦略は最近の自分の中でのテーマでもあるので、そろそろ読もうかな・・・と思いつつでした。
マンガ版を併用すれば理解力もアップする!
そんなときに、研修を受講しに東京に行く電車でマンガ版の広告があり、マンガで概要を掴めればなんとかなるかも・・と思ってさっそくマンガ版をkindleで購入して読んでみました。
この本は本当にマンガがメインです。
まんがでわかる、マンガで読む・・と言いながら実は活字がほとんどというものもたまにありますが、こちらはほぼマンガですからサクッと読めます。
昨日と一昨日の2日の移動と帰宅後で両方を読みましたが、マンガ版→活字版→マンガ版とサンドイッチで読んだので割と頭には入りやすかったように思います。
3つのモデルのそれぞれの人生
人生100年時代といえども本当に100年時代を迎えるのは今の20代前後の人たちとなります。この世代は平均寿命が100歳になるので2人に1人は100歳まで生きる世代です。
それに対して団塊の世代である70歳以上の人たちは実際には85歳くらいが平均寿命であり、団塊ジュニア世代も100歳には届かないはずです。
これらの3つの世代をそれぞれモデルにして説明がされます。ペルソナ的に示されているのが3人の登場人物です。
- ジャック 1945年生まれ
- ジミー 1971年生まれ
- ジェーン 1998年生まれ
1971年生まれというのはほぼ自分と同世代であり、1945年生まれは父親の世代です。
ジェーンというのは?もしもいたら子どもにあたる世代でしょうか?
つまり、団塊の世代、団塊ジュニア世代というベビーブーマーのそれぞれの人生、さらに今の若い人の人生をシミュレーションするという形の本になっています。
特に仕事とお金というところが話題の中心です。
3ステージの時代の終焉
従来の世代の人生を次の3ステージと表現しています。
- 教育の時期
- 会社勤めの時期
- 引退後の時期
著者はイギリス人のようですが、日本の一般的なサラリーマンにもぴったりとあてはまります。
義務教育から大学までの横一列の教育のステージを経て、当たり前のように就職活動を横並びで行い、60歳から65歳で定年を迎えて第二の人生へ・・というのがこの3ステージの人生です。
僕はサラリーマン生活を送ったことが基本的にはないのであまりしっくりこないのですが、確かに父親の世代はサラリーマンでこの典型的なパターンを生きていました。
ただ、このモデルは人生が70歳や80歳で終焉するから成り立つモデルです。
60歳で退職して100歳まで生きるのであれば40年もの期間、年金生活です。
自由かもしれないが物足りない、時間はあるがお金はない・・そんな生活が40年続くのです。
40年とは、0歳だった赤ちゃんが40歳になるまでの期間です。
普通に考えても60歳で完全に引退するというのは難しい時代になっていきます。
65歳まで定年が延長されている会社が多いと思いますが、70歳や80歳でも何らかの仕事をする時代に移行していきます。
100歳まで生きるための戦略ではなく80歳まで仕事を続ける戦略を!
人生100年時代の人生戦略ではありますが、言うなれば引退の時期が後ろ倒しになるというだけの話です。
人生70年、80年の時代だから60歳や65歳で引退ができたわけですが、80歳から100歳に寿命が延びるのであれば引退時期も20年遅らせないと計算が合わないわけです。
公的年金にも頼れず、老後資金の枯渇を待つよりも、積み増しができないまでも目減りしない時期を増やすしかないわけです。
つまりは、「100年の人生設計ではなく、80歳までの就労設計」が必要となります。
80歳まで仕事を続けると考えると「ふううううううううううう・・・」って深いため息がでますよね。
短距離、中距離レースだと思っていたら、実はマラソンレースでした、と思ったら本当はトライアスロン!っていうこともありうるのです。
となると、ストレスを貯めてもハードワークをして短期間でたくさん稼ぐというプランではなく、自分をすり減らさず、モチベーションを枯渇せずに長く働く戦略も必要となります。
そして、プロ野球でいうと若い頃は直球勝負の本格派投手でも、打たせてとるような技巧派にワーキングスタイルを推移していくしたたかさも要求されてきそうです。
3ステージ以外の新しいステージが生まれる
人生100年時代では従来の「教育・仕事・引退」の3つのステージ以外の新しいステージとして次の3つが登場するそうです。
そしてこれらは順番や時期も人によって様々となります。
従来の3つしかなかった横並びの人生のどこかにこれらの何かが挟まってくることで人生に潤いと生きがいをもたらしていく、ということを目指すべきという提言といえるでしょう。
もちろん、意識をしないと従来の3ステージの人生で終わるかもしれないし、その結果として100年時代を楽しむことができずに、ただ単に長いだけの退屈な100年になってしまうかもしれません。
つまりマルチステージを目指すことです。
意識して戦略をもって動きだすことで自分だけのオリジナルの人生を手に入れることができるのです。
- エクスプローラー
- インディペンデント・プロデューサー
- ポートフォリオ・ワーカー
エクスプローラー
エクスプローラーは人生の旅をして自分と世界を再発見するステージです。
日常生活から離れて旅をしたり、新しい人とであったりして、既存の価値観から抜け出して自分についての理解を深めていくステージとなります。
仕事を始める前の学生時代などかもしれないし、仕事に一区切りをつけて次の仕事を探すモラトリアム的な時期に該当するのかもしれません。
インディペンデント・プロデューサー
インディペンデント・プロデューサーは個人事業主的なステージです。組織に雇われずに自分で仕事を生み出す人で、起業とは少し異なりやりがいや人とのつながりを重視しながら試行錯誤とスピーディに繰り返して学びを深めていくステージです。
今の自分がこれに当てはまる気がします。別に独立したわけではないですが、そろそろ組織にとらわれずに自分のネットワークや経験、知識などを生かして新しいことに取り組みたいという時期に差し掛かっています。
ポートフォリオ・ワーカー
このステージもイメージがしにくいのですが、異なる種類の活動を同時に行う人で、経験や知識を生かしていろいろな自分を楽しむステージです。
ある程度の経験や実績が持った人が多様な活動を通じて自分らしさにつなげていくというイメージのようです。以前に身に着けた知識やスキルを新しい活動で生かしたり、新しい人にでありネットワークを広げることで人生に刺激と選択肢をもたらしてくれるというステージになります。
なんとなく実績を積んだ社長や専門家が、後進の指導をしたり、組織や分野の垣根を超えて地域などを活性化していくようなイメージなので自分にはもう少し先の未来かな、という印象です。
人生100年時代では無形資産が大事になる
人生100年時代のキーワードとして無形資産というのが紹介されています。
有形資産と無形資産とが対になりますが、有形資産は解説不要でしょうけど、預金や家などいわゆる財産です。
これに対して目に見えない無形資産についてが大切な要素となります。
無形ですから目に見えないのですが、金銭では換算できない家族や友人との良好な関係などが該当します。
40代以降の我々の世代にとって資産といえば有形資産で、とにかく目に見える財産を貯めることが人生にとって重要なことだと思っていたはずですが、実はそうではないということに気づかされます。
おそらく生活するだけであれば有形資産だけでも問題ないのかもしれません。
でもそれで本当に幸せなのか、心の灯を灯し続けて100歳まで生きていけるのか・・・考える時期に差し掛かっているのです。
無形資産にも大きくわけて3つの資産に区分されます。
- 生産性資産
- 活力資産
- 変身資産
生産性資産
生産性資産は特に難しいことなくスキルや知識、仕事の仲間や評判のことです。
稼ぐために直接必要な要素を生産性資産とよびますが、一度身に着けただけでは足りず常に更新をしたり新しいものをキャッチアップする必要があります。
また、仲間やネットワークも重要視されます。一人のスキルで実績をあげるには限界があることが実証されていて、目に見えなくても相互補完できる人や信頼できる仲間と協力関係を気づくことが大切といわれます。
活力資産
活力資産は心身の健康を維持する資産です。バランスのとれた生活や家族との良好な関係、肉体的にも精神的にも健康な状態を維持することです。
財産的な成功や名声を得ることではなく、物心両面の成功が必要です。
特にストレスをうまくコントロールしたり、家族や友人との信頼関係を高めることが仕事にも良い影響を与えることになります。
変身資産
変身資産とはマルチステージを生き抜くために社会の変化に柔軟に対応して、人生の途中で何度も新しいステージへの移行ができる意思と能力のことです。
うーーんわかりにくい!
変化に対応するために身に着けないといけないのは、「自分を理解して自分の将来の可能性を知ること」「幅広いネットワーク」「積極的に新しい経験をしていくこと」といわれています。
自分自身を変えるためには・・・・?
自分と向き合って自分を知り、多様な価値観を身に着けられるネットワークを作り、失敗を含めて積極的に動くことといえるのかもしれません。
まとめ
人生100年と聞いてポジティブにとらえる人とネガティブにとらえる人、人それぞれだと思います。
バブル崩壊に失われた30年、日本人の価値観は変わったのか、変わっていないのか?
自分をプロデュースすると大学4年の時に宣言してまわりからかなり変な目で見られながらも、大学卒業後に資格をとって自分のスキルだけで生き抜くために努力してきました。
この本に書かれていることは僕が昔から取り組んできたこと、と思えることも結構あり、共感できる内容でした。
むしろ会社生活にどっぷり漬かりながらも会社人間である自分にどこか疑問を感じながら生活をしている人は、読むと危機感を煽られるのかもしれません。
この本に書かれていることは自分が今まで心の中で思いながらもうまく言語化できていなかったことのように思います。
経済学やお金の部分と心理学的な部分とがうまく融合した書籍であり、FP活動をするなかでぜひ広めていきたいと思える内容だったと思います。