今回は、ビジネスマネジャー検定における計算問題を解説します。
どの資格試験もそうですが、計算問題は苦手意識を持ちやすいと思います。
今回は苦手意識を持ちやすい計算問題の攻略法について解説します。
計算問題の準備はいつやるか・・・
ビジネス系の資格に計算問題はつきものですが、僕は結構苦手で後回しにしてしまいます。
計算問題って結局は暗記なんだよね・・・って思っているので、これ系の資格では直前に詰め込んでしまいます。
算式覚えてもしばらくすると忘れてしまうので、直前に覚えるのが一番効率的なのです。
でも、僕はさすがに税理士なので経営指標ぐらい覚えやがれって話なので、仕事でもつかえるってことで今回はちゃんと理解しておきます。
ビジネスマネジャー検定で計算問題がでるのは2つの分野です。
一つ目が事業計画に関する分野、もう一つが成果の検証のための経営指標です。
PDCAサイクルでいうと「P」と「C」の部分ですね。
計算問題は決算書(損益計算書と貸借対照表)を使った事例問題として出題されます。
決算書の読み方なども簡単にでもきちんと理解する必要があります。
損益分岐点分析
財務分析などでは損益分岐点分析という定番ネタがあります。
黒字になるためには最低いくらの売り上げがないといけないのかってことなので事業計画策定時に用いることになります。
文字通りなのですが、損益分岐点というのは「売上=経費」になって損益がゼロになる売り上げ高のことをいいます。損益分析点売上高です。
この損益分岐点売上高が高いと結構がんばって売り上げをあげないといけないし、低いと割とハードルが低くクリアできます。
ただ、実はこの損益分岐点売上高は低ければいいというものではないのです。
業種やビジネスモデルによっても違ってきますから、きちんと分析をしないといけないという話です。
ビジネス書で餃子屋と高級フレンチはどちらが儲かるっていうのがありますが、まさにこれがビジネスモデルによって損益分岐点の考え方が異なるという話なのです。
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要暗記算式
ここで覚えないといけないは次の算式です。意外に多いですね。
- 損益分岐点=売上高-総経費=0
- 総費用=変動費(1個あたり変動費×販売個数)+固定費
- 限界利益=1個あたりの売上高-1個あたりの変動費(1個あたりの粗利)
- 損益分岐点売上数量=固定費/限界利益(何個売ったら元が取れるの?)
- 損益分岐点売上高=固定費/(1-変動費/売上高)=固定費/限界利益率
- 変動比率=変動費/売上高(売上高に占める変動費の割合)
- 限界利益率=(売上高-変動費)/売上高=1-変動費率
- 損益分岐点比率=損益分岐点売上高/実際売上高
(例)1個あたりの売上高200円、1個あたりの変動費160円、固定費が200万円、実際の売上高が1500万円の場合
- 限界利益=1個あたりの粗利=200円-160円=40円
- 損益分岐点売上数量=固定費200万円/40円=5万個
(5万個売れば元とれる) - 損益分岐点売上高=@200円×5万個=1000万円
- 変動比率=160円/200円=80%
- 限界利益率=1-80%=20%
- 損益分岐点売上高その2=200万円/20%=1000万円
- 損益分岐点比率=1000万円/1500万円=66.7%
人件費の計画と管理
事業計画において人の配置や人件費の計画は必須です。特に飲食店などアルバイトでやりくりするような業種であれば現場の店長さんなどは頭を悩ますところでしょう。
ビジネスマネジャー検定の過去問題などでは人時生産性(にんじせいさんせい)という用語が使われます。なんて読むのか不明でしたがぐぐってみました。
人時生産性とは、売上総利益(粗利)に対する人件費の割合を示します。
計算問題として出題されることも多いので算式の理解が必須です。
- 人時売上高=従業員1時間当たりの売上高=売上高/店舗等での総労働時間
- 人時生産性=従業員1時間当たりの粗利=粗利/店舗等での総労働時間
- 売上高人件費率=平均時給/人時売上高
算式自体は単純ですが、人時(にんじ)って言葉がわかりにくい。
また、売上高人件費率を使って目標の人時生産性まで求める問題もでますので、下記の例をしっかりマスターしましょう。
(例)1日平均売上高40万円、従業員数10人、平均労働時間8時間、1日平均時給1500円、売上利益率50%の場合
- 店舗等での総労働時間=8時間×10人=80時間
- 人時売上高=40万円/80時間=5000円
- 1日あたりの粗利=40万円×50%=20万円
- 日時生産性=20万円/80万円=2500円
※40万円×50%/80万円 - 現在の売上高人件費率=1500円/5000円=30%
- 売上高人件費率が25%となる人事売上高=1500円/25%=6000円
- 売上高人件費率が25%となる人事生産性=6000円×50%=3000円
付加価値分析
ビジネスマネジャー検定では付加価値分析という分野で計算問題が出題されます。
付加価値とは、自らの事業活動によって新たに創造された価値をいいます。
付加価値ってわかりにくい概念ですが、付加価値税として消費税があるのをイメージするとわかりやすいかもしれません。
つまり、仕入れて売ったとしても仕入値と売値の当社の儲けであり、追加された価値なのです。
付加価値の計算は控除法と集計法の2つの方法があります。
また、付加価値を使った労働生産性などの分析手法もあります。
- 控除法による付加価値=売上高-外部購入価値
- 集計法による付加価値=経常利益+人件費+賃借料+減価償却費+金融費用+租税公課
- 労働生産性=付加価値/従業員数
- 労働分配率=人件費/付加価値
- 付加価値率=付加価値/売上高
経営指標の分析(収益性、効率性、安全性の分析)
財務諸表の読み方とあわせて経営指標の分析方法が計算問題として出題されます。
2期の比較で出題されることが多いようですので、どういった要因でどんな結果になるのかというところも要注意です。
収益性の分析指標
企業がどれほどの利益を獲得しているのかを分析するものです。基本的には「ナントカ+利益率」という言葉で、分子が利益となります。
この利益にもいくつかの種類がありますので、損益計算書のどの部分の利益なのか、というところもきちんと押さえましょう。
- 純資産利益率(ROA)・・「当期純利益/総資産」×100(%)
(経営資源を活用して効率的に利益を得ているのかどうか-高いほどよい) - 自己資本利益率(ROE)・・「当期純利益/自己資産」×100(%)
(株主が投資した資金を用いて効率的に利益を得ているか-高いほどよい) - 投下資本利益率(ROI)・・「当期純利益/投下資本」×100(%)
(投下した資本の効率を分析する) - 売上総利益率(粗利率)・・「売上総利益(粗利)/売上高」×100(%)
(売上に占める粗利の割合-高いほどよい) - 売上原価率・・「売上原価/売上高」×100(%)
(売上に占める原価の割合-低いほどよい)
効率性の分析指標
効率性の分析は「ナントカ回転率」です。
今度は、分子が売上高で分母は貸借対照表の何か(流動資産・固定資産・総資産)を使います。
企業が資本や資産を活用して効率的に売り上げや利益を獲得しているかどうかを分析するものです。
- 総資本回転率・・「売上高/総資本」
(総資本=総資産に対する売上高の割合で回数で表される-大きいほどよい) - 固定資産回転率・・「売上高/固定資産」
(固定資産が売上高として年に何回転するのか-大きいほどよい) - 流動資産回転率・・「売上高/流動資産」
(流動資産が売上高として年に何回転するのか-大きいほどよい)
安全性の分析指標
安全性の分析とは、企業の財務上の支払能力を分析するものです。
財務上の分析なので貸借対照表を用います。
過去問ではなぜか固定長期適合率の出題が多い印象です。
- 自己資本比率・・「純資産/総資本」×100(%)
(総資本に対する自己資本(純資産)の割合で経営の安定度を示す-高いほどよい) - 負債比率・・「負債合計/純資産」×100(%)
(自己資本(純資産)に対する負債の割合-低いほどよい) - 固定比率・・「固定資産/純資産」×100(%)
(自己資本(純資産)に対する固定資産の割合-低いほどよい) - 固定長期適合率・・「固定資産/純資産+固定負債」×100(%)
(自己資本(純資産)と固定負債という長期資金によって固定資産がどれだけ賄えているかを表す-低いほどよい) - 流動比率・・「流動資産/流動負債」×100(%)
(1年以内に返済すべき負債によって、1年以内に現金化できる流動資産がまかなえているか。逆にいうと1年以内に返済すべき負債にみあう流動資産がどれだけ確保できているかを示す-100%を超えて入れば安全)
計算問題の攻略は手を動かすのが一番!
計算問題は算式を暗記するのが最終的には必要ですが、理解もそれなりに必要です。
そして理解しながら暗記するには、体に覚えさせるのがいい、ということで手を動かして練習問題をこなす、というのが攻略法としてベストだと思います。
とにかく、手を動かす!