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プライベートバンカー・ウエルスマネジメント・ファミリーオフィス・エステートプランニング・資産税の専門家を目指すブログ-TaxAccounting&Financial Planning

令和2年から年末調整や確定申告がちょっと複雑に変わります

確定申告を制する者が蓄財を制する、、、と、最近見たYouTubeでリベラルアーツ大学の両学長も言っていました。

税理士のお客さんは基本的には社長とか事業主などですが、本当は普通の会社員の人たちにも税金のことを知って欲しいとは思います。

ふるさと納税やGOTOキャンペーンなども、お金持ちやある程度余裕のある人が得をするような制度になっていますから、税制改正や税金の使われ方についても国民としてある程度のチェックが必要ではないかと思っています。

タックスリテラシーの向上

マネーリテラシーとか、ITリテラシーという言葉がありますが、タックスリテラシーも実は大事だと思います。

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 令和2年から所得税が変わります

過去に決まった改正項目ですが、平成30年度税制改正で令和2年から適用される改正項目がありました。

その頃にテーマになっていたのが「働き方改革」です。

フリーランスと会社員の不公平感を是正しましょうという改正でした。

具体的には次のようになります。

  • 基礎控除を10万円あげる
  • 給与所得控除を10万円さげる

このことがなぜ不公平感の是正になるかというと、基礎控除は会社員でもフリーランスでも誰でも受けられる所得控除で、一方で給与所得控除は給与所得からしか控除できないので、フリーランスには恩恵がない控除だからです。

個人事業主のいわゆる事業所得と給与所得とでどちらが税制メリットがあるのか、、、というのは正直あると思います。

給与所得は概算で控除ですが、事業所得は実費控除ですから、経費で落とし放題・・・という批判もあるかもしれません。

昔はサラリーマンのほうが税制上で不利だ、、ということで問題になったことがありましたが、今ではフリーランスのほうが生活が厳しいということなんだと思います。

景気や時代背景でこの辺はかわるのかもしれませんね。

とにかく、フリーランスに優しい税制を、ということで、基礎控除が10万円あがって、給与所得控除が10万円さがることになりました。

ただし、サラリーマンがこれで増税になったわけではありません。

基礎控除が10万円あがっているので、差引ゼロになるはずです。

なのですが、実は違います。

一定額以上の給与から増税になります

基本形では増税ではないのですが、一定額以上の給与所得からは給与所得控除額がさらに減額されます。

基礎控除を増やした部分の10万円だけではなく、給与所得控除がさらに削られているのです。

その基準が年収850万円のラインです。

年々上限ラインが下がってきていますが、とうとう850万円で給与所得控除額の上限がきてしまいます。

給与年収850万円をこえる人は今年から増税になっていました。

給与で年収850万円を超える人は年初から源泉税が増えますから、毎月のお給料の手取り額がちょっとずつ減っていますよ。

改正前は1000万円以上は220万円の控除だったのですが、850万円の収入で195万円の控除となり、収入が1000万円以上の給与所得者は25万円だけ所得がふえることになります。

実はこの辺のラインの人たちは10月から厚生年金の保険料もあがってきます。

健康保険料はそのままですが、厚生年金保険料の上限の部分が一段階あがって、新しい区分が追加されているのです。

逆格差、、という感じにもなってきていますが、手取りが増えにくい時代になっているのは事実ですよね。

給与が一定額以上でも増税にならない人もいます

ただし、子育てや介護が必要な世帯については「所得金額調整控除」という新しい控除ができて改正前と変わらないようにするという立て付けになっています。

この所得金額調整控除が新しい控除項目として追加されました。

これだけだとなんとなくふーーんという感じですが、年末調整や確定申告で子育てや介護が必要な世帯に該当するかどうかの確認が必要になるということです。

つまり850万円を超えている場合には、自分が増税になるのか、ならないのか(子育て世帯、介護が必要な世帯に該当するのか)を知っておかないといけないわけですね。

これはこれで、対象者の把握やチェックが面倒だぞ、、と思うのは現場サイドの話です。

寡婦控除が変わり、ひとり親控除もできました

今年から寡婦控除の見直しもされています。

離婚や死別した場合のシングルマザー、シングルファザーの男女差をなくそうということだったり、結婚していた子供かどうか、ということの格差を是正するという改正もされています。

寡婦控除も年末調整の項目ですから、勤務先に寡婦控除やひとり親控除の適用の有無についてきちんと伝えないといけないことになります。

寡婦控除についてはなかなか正しく記載してもらえる方は少ないです。

さらに複雑になっていますから、ますます厳しい・・・

これって税理士から顧問先の経理担当者や総務担当者に聞くのは結構気が重い。

年末調整では基礎控除申告書は全員提出が原則です

今回から年末調整で提出する書類が増えています。

  • 令和2年分扶養控除等(異動)申告書-異動があったり途中入社の方
  • 令和3年分扶養控除等(異動)申告書-その年最初の給与までに提出
  • 令和2年分基礎控除等申告書
     兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 令和2年分保険料控除等申告書
  • 住宅借入金等特別控除の申告書

最大でこれだけ出さないといけないのですが、基礎控除、配偶者控除、所得金額等調整控除等申告書は3つの申告が1枚の書式になっています。

このうちで必ずださないといけないのが基礎控除申告書です。

今回から基礎控除にも所得制限が加わっています。

基礎控除が10万円増えただけでなく、所得が大きい人は基礎控除がゼロになるという制限が加わりました。

合計所得金額が2400万円を超えると制限がはいるのですが、給与収入だけで2000万円を超える人はもともと年末調整できないので確定申告をしてください、、ということで基礎控除申告書の提出は不要です。

本当は逆にしてほしいところですが、基礎控除を受ける人が申告書を提出しないといけないため、原則は全員提出ということになります。

基礎控除を受けられない人だけ申告書をだす、、、というわけにはいかなかったのか??

ということで、保険料等の控除がない人でも、ほとんどの人は今回から最低2枚(翌年の扶養控除等申告書+基礎控除兼配偶者控除等兼、所得金額等調整控除申告書)の提出が必要となります。

保険料の控除がある人は3枚、住宅ローン控除を受ける人は4枚ということになります。

スガノミクスでデジタル化を目指す?

ここまで複雑になってくると、これからはデジタル化を目指すのか、年末調整という制度をやめて全員確定申告にするのか、、ということになってくると思います。

年末調整をなくす、、というのは考えにくいので、デジタル化ということになるのでしょうか。

菅総理のデジタル庁の構想がまさにこの流れなのでしょうが、年末調整業務の電子化は実は動きだしています。

各保険会社がデジタルデータによって保険料控除証明書を発行したり、マイナンバーのポータルサイト(マイナポータル)経由でダウンロードできたり、、というものが想定されています。

とはいえ動きだしたばかりで現場レベルでデジタル化が進むのはもう少し先かもしれません。

 

 


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