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20万円以下の所得は申告しない?確定申告が必要なケース、確定申告をしなくていいケース、確定申告をすることができるケースとは?

実務をしていても迷うことが多い、本当は確定申告が必要なのか、不要なのか、はたまた確定申告をしたほうがいいのか、という問題について今回は解説してみます。

確定申告しなくてよいケース

確定申告をしなくてよいケースをまとめると、次のようになります。

  1. 課税所得金額の段階で課税所得がゼロ又は算出した所得税額から配当控除、年調済の住宅ローン控除を引いて税額がゼロ
  2. 給与収入が2000万円以下で、給与は1か所のみで、給与所得以外の所得金額が20万円以下
  3. 給与収入が2000万円以下で、給与は2か所以上でも、「従たる給与の収入+給与所得以外の所得金額」が20万円以下
  4. 公的年金の収入金額が400万円以下で、公的年金以外の所得金額が20万円以下

※これらに該当しても、同族会社から家賃等を受け取っている人、年末調整で控除できない所得控除や税額控除をする人、損失の繰越控除をする人も確定申告が必要となります。

確定申告が必要なケースの原則的な考え方

どういう人が、確定申告が必要なのか、というと、税法の読み方としては、原則は何か、例外は何か、例外の例外は何か・・・といった感じで考えていくことになります。

原則は、課税所得金額の段階で課税所得がゼロ、又は算出した所得税額から配当控除、年調済の住宅ローン控除を引いて税額がゼロに該当する人以外は全員確定申告が必要です。

まずは、税金がでないから確定申告をしなくてもいいというケースです。税法的には、「算出した所得税額から配当控除の超えるとき」は、確定申告をしなければならない、という条文になっています。しなければならない人に該当しなければ、逆説的にしなくていい人になります。

この場合は、どこで判断をするかというと、まず所得控除をした段階で課税所得がゼロであれば税率をかけてもゼロなので確定申告をする必要はありません。次に課税所得金額に税率をかけて算出した所得税額から配当控除又は年末調整で控除済の住宅ローン控除を引いて税額がゼロであれば確定申告の必要はありません。

ただし、これらに該当する場合でも、個人事業主で収入や所得の証明が必要なケースも提出をしておいたいいでしょう。事業用の借り入れやコロナ関係の給付金を受ける場合に所得税の控えが必要なケースが多いです。青色申告特別控除の65万円控除は期限内申告が要件の一つになっていますので、個人事業主であれば、課税所得がなくても申告はすべきです。

例外的に確定申告をしなくてもよいケース

次に上記1の原則に該当してなくても、例外的に確定申告をしなくていいケースがいくつかあります。それが2と3の年末調整を受けているケースと4の公的年金のケースです。

給与所得者で例外的に確定申告をしなくてもよいケース

年末調整を受けた人は、年末調整でいったん税額計算は完結です。

年収2000万円以下で、給与以外の所得や2か所以上で働いていて主たる勤務先以外の給与所得が合計で20万円以下の人は確定申告不要となります。

ただし、例外の例外で、これらに該当する人でも、同族会社から家賃の支払いを受けている場合は確定申告が必要となります。

副業などでも、その所得が20万円以下であれば申告不要となりますので、副業で稼ぐのであれば所得が20万円以下になるようにするのがいいかもしれません。

ただし、これは年末調整だけで完結する人の話です。

医療費控除や寄付金控除などを受けるために確定申告をする場合はこの20万円以下の所得も申告をする必要があります。申告不要になるのはあくまでも年末調整のみで完結するのであれば、追加の税金はかかりませんという話になります。

ふるさと納税、医療費控除を受けるために確定申告をする人は、20万円以下の所得も併せて申告になります。

年金生活者で例外的に確定申告をしなくてもよいケース

次に年金生活者のケースです。年金所得者には年末調整はありませんよね。

基本的には毎月の年金支給時に源泉所得税が徴収されていますが、公的年金以外に給与や個人年金などの所得が20万円以上ある場合には確定申告が必要となります。

医療費控除などの控除を受ける場合で還付になるときは確定申告をすることでこちらも還付を受けることができます。

これ以外で年金収入が400万円以下の人については、年金を複数もらっていたりして合算して所得税の納税額ででてしまうケースもありますが、この場合でも確定申告は不要です。申告すると所得税の納税をすることになりますので、申告すると逆に不利となります。申告不要という制度は、追加納税不要の制度でもあります。

住民税では申告が必要こともある

上記の2から4の例外は所得税法の規定となります。

住民税にはこのような申告不要の制度はないので、上記のいずれかに該当しても住民税のみ申告が必要なケースや、逆に住民税も考慮すると申告したほうが有利なケースがあります。

申告すれば還付を受けることができるケース

一方で、必要というわけではないけど、確定申告をすれば源泉徴収された税額の還付金を受け取れる人もいます。年末調整は簡易版でしたので、すべての項目について計算ができるわけではありません。医療費控除や寄付金控除のように確定申告でないと控除できないものもあります。

住宅ローン控除も初年度は確定申告をしないと計算ができません。これらの控除を受ける場合にも確定申告をすることになります。

これはあくまでも「できる規定」ですので、還付を受けたいなら確定申告することができる、という発想です。

この申告のことを還付を受けるための申告、「還付申告」といわれます。

損失の繰越をするための申告

もう一つ、損失の申告をいうのもあります。これも税額がでないのであれば原則としては確定申告をしなくてもいいのですが、損失の繰越をするためには申告が必要です。

有利になるためなので、しなければならないという義務規定ではなくて、できる規定となっています。繰り越し控除をしたいなら、確定申告することができるという発想です。

この申告のことを損失のための申告、「損失申告」といわれます。

迷路のような話が実に面白い

まとめると、確定申告をしなければならないケースがあり、その中でも例外的に確定申告をしなくてもいいケースがあり、一方では本来は確定申告をしなくてもいいけど確定申告をすることもできるケースがあるということになります。

この確定申告するの?しないの?、やりたかったらやってもいいよ!という条文のあたりは、迷路みたいで結構おもしろい部分ですよね。

税法条文、、という感じがします。

 

 

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