令和4年度の税制改正では大きな改正項目はなかったのですが、住宅ローン控除には改正がたくさん加わっています。
(出典;財務省)
住宅ローン控除は、「年末借入金の対象額×控除率×控除期間」で節税額が決まる制度です。今回の税制改正ではこれらの3つとも変更がされています。
改正内容を整理すると・・住宅ローンはかなり複雑になったかな、という印象です。
新築を購入する人は省エネ基準について事前に確認が必要になるでしょう。
単身者や夫婦のみでそれほど広いマンションでなくてもいい人は、40㎡から50㎡の物件の購入を検討してもいいかもしれません。
中古物件についての築年数要件が変わりますので、築古のマンションでも対象になるケースがあります。昭和57年から耐震基準が変わっていますので、40年前です。今まで築25年までだったのが、築40年のマンションでも大丈夫になります。築30年から40年までのマンションの売買が進む可能性もありますね。
所得要件が3000万円以下から2000万円以下に引き下げ
所得要件はいずれも高所得者のみですが、合計所得金額が3000万円から2000万円に下がります。これから控除が始まる人が対象ですが、所得が2000万円を超えてしまった年は控除ができないことになります。最初の居住年ではなく毎年、その年ごとに判定されることになります。
「控除率」が1%から0.7%に引き下げ
昨年の税制改正大綱で控除率が実際の金利に比べて高いという会計検査院の指摘があるという記載があったのですが、今回の改正ではその「率」がいじられています。控除率が1%から0.7%になります。
「住宅ローン残高」の上限の一部は引き下げ、省エネ基準が細かくなって拡充
住宅ローンの上限、控除限度額は、令和4、5年と令和6、7年とで異なり、省エネ住宅かそれ以外かでも控除限度額が変わります。省エネ基準が細かくなって拡充されています。
省エネ住宅ではない一般住宅については少し控除額が減らされることになっています。
また、令和6年以後に建築確認をした一般住宅については控除額がゼロになる予定になっています。これは省エネ住宅じゃないと、令和6年以降の建築からは住宅ローン控除が受けられないってことですよね。
「控除期間」は新築住宅又は買取再販住宅に限って拡充
省エネ対象かどうかのほかに、新築住宅や買取再販住宅と既存住宅とでも異なります。消費税の課税対象かどうかが影響していると思われます。新築住宅や買取再販住宅などであれば13年となり、それ以外の既存住宅については10年となります。
また、令和6年以降の居住の場合、省エネ住宅以外の一般住宅の控除期間は10年となります。
床面積要件の一部が緩和
合計所得金額が1,000万円以下に限り、新築の場合で。令和5年までの建築確認を条件に通常50㎡以上という床面積要件が40㎡以上に緩和されます。
中古住宅の築年数要件が廃止され、新耐震基準への適合の条件に変更
改正前は築年数が20年以内とか、25年以内という条件がありましたが、これらが廃止されて、新耐震基準に適合しているかどうかに変更されます。
新耐震基準が導入されたのが昭和57年1月からですので、登記簿上の建築日付が昭和57年以降のものは新耐震基準に適合しているものとみなされます。
住民税から控除できる金額が減額される
住宅ローン控除で、所得税額から控除できなかったときに住民税から控除できるようになったのは、住民税の税率が10%で固定されたときだったと思います。
所得税の税率が下がって、住民税の税率があがったため、所得税額から控除できなくなることを考慮して住民税での控除となりました。
今回、所得税額から控除しきれない場合の住民税の控除限度額が、所得税の課税所得金額の5%(97,500円)となる。※改正前は7%(136,500円)