投資に役立つ税金のルール。今回は所得控除についてです。
所得控除にはどんなものがあるの?
所得控除は15種類があります。
納税者や家族の属性、状況など「人」の問題に着目した人的控除と、保険料の支払いなどのそれ以外の状況に着目した物的控除の2種類があります。
担税力と課税の公平性に基づく制度になっています。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
1から7が物的控除で、8から15が人的控除となります。
所得控除の留意点、節税のポイント
次は投資や資産形成を考えるうえでおさえておきたい所得控除の留意点を紹介します。
ポイント① 人的控除には所得要件がある
人的控除は弱者救済的な位置付けもありますので、基本的には所得要件があります。
この数年の改正で所得要件はかなり厳しくなっています。
障害者控除を除いて、所得が多い人は適用ができなかったり、減額がされます。
そのため、上場株式などの申告不要のルールの理解が重要になっていきます。
ポイント② 所得控除は高所得者ほど有利
所得控除が特に有利なのは所得が大きくて税率が高い人です。
所得から差し引くタイプの控除ですので、所得税の税率が5%の人よりも45%の人のほうが効果は高くなります。
同じ10万円の所得控除でも、税率が5%の人は5,000円の節税にしかなりませんが、45%の人は45,000円の節税です。所得が高い人ほどiDeCoなどの所得控除になる制度は使ったほうがお得になります。
ポイント③ 総所得金額から先に控除する
所得控除には控除の順序があります。
どの所得から控除するかというと、まず総所得金額から控除していって、引ききれないものについては分離課税の所得からも控除ができます。
適用される超過累進税率が低い場合でも、有利になるからといって分離課税から控除はできません。
ポイント④ 雑損控除から控除する
どの控除から使っていくのかというと、先に雑損控除を使います。
雑損控除というのは、災害や盗難、横領で自宅や生活用の資産に損害を受けた場合に、損害額を所得控除できるという制度です。
この雑損控除だけは繰越がありますから別枠で先に控除し、控除しきれない控除額、これを雑損失といいますが、翌年以後3年間の繰越が可能です。
投資や資産形成を考えるうえで重要なのは物的控除
投資や資産形成をする上で重要になるのは物的控除のほうになります。
老後のための資産形成には少し手厚い控除があります。
物的控除の中でも全額所得控除となる社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除は最も手厚い控除となります。
そして、生命保険料控除や寄付金控除(ふるさと納税)なども資産形成には役立つ控除です。
節税をしながら資産形成を考える場合にはこれらの物的控除を有効に使うことが大事です。