資産家にとっての投資リスク許容度の判断基準
投資をするうえでのリスク許容度を図る指標として重要になるのが資産から負債を差し引いた正味の財産額、つまり個人の純資産額です。
年齢は若ければ若いほうがとれる投資リスクが大きいのと同じように、一般的には純資産額が大きければ大きいほど投資でとれるリスク許容度も高いと評価されます。
純資産額の計算は会社の決算書でいう貸借対照表にあたる「個人の家計貸借対照表」を作成して行うことになるのですが、この場合の貸借対照表は時価ベースで作成することになります。
財務分析のノウハウは個人にも当てはまる
決算書の分析は成長性や収益性、効率性などの観点から行われるのですが、貸借対照表は安全性を分析するときに用いられることが多いです。
例えば流動性分析という分析方法があります。
流動資産と流動負債を比較して、どれほど余裕があるかどうかで企業の安全性を判断します。当然ながら流動資産が流動負債よりも大きいほうがよく、逆に少ないと倒産のリスクが高くなります。
これを個人の家計貸借対照表で考えてみると、現預金などのすぐに支払いにまわせる資金が、毎月返済する住宅ローンやクレジットカードの引き落とし予定額、月々の生活費よりもある程度は多くないといけないということになります。
自分は毎月の給料日に個人の家計貸借対照表を作成していますが、こうして定点観測的に作成して分析することで貯蓄や投資の意識が高まったような気がします。
資産家なら相続税の見込み額の認識が重要となる
ある程度の資産家になると、こういった諸々の資産と負債を時価ベースで集計するとともに、将来発生するであろう相続税の見込み額も負債として認識することが必要になります。
流動性を考えると、1次相続と2次相続で見込まれる相続税の金額を、できれば現預金や生命保険金、上場株式などの換金性の高い資産で準備しておきたいものです。
逆に不動産や経営している会社の株式などは売却しにくい財産となります。
固定長期適合率という指標もありますが、不動産や自社株などは返済期間が比較的長い借入金や税引き後の純資産額と釣りあわせておく必要があります。
相続税を考慮して時価ベースの家計貸借対象表で投資リスクを判断する
相続はいつおこるのかわかりませんし、資産家にとっては準備するに越したことがないものです。
流動性比率を考えると1次相続、2次相続の必要資金はなるべく換金性の高い状態で保有をしておきたいものです。
上場株式も換金性が高いのですが、たまたま相場の状況が悪いときに相続があたると納税資金の財源に困ることもあります。
余裕をもって準備をするのであれば、ある程度の年齢になったら相続税の見込み額も考慮して投資のリスク許容度を検討する必要がありそうです。