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プライベートバンカー・ウエルスマネジメント・ファミリーオフィス・エステートプランニング・資産税の専門家を目指す税理士のブログ-TaxAccounting&Financial Planning

相続空き家の3000万円控除の特例は事前相談や事前確認をしないと後の祭りになることも・・・

相続税の業務を行っていると、相続に関連して、両親が亡くなった後で実家を処分したとか、叔父や叔母の自宅を処分したという相談があり、毎年1件か2件くらいは相続空き家の特例の適用ができそうという案件がでてきます。

相続空き家の特例は資料収集などが正直面倒くさい部分もありますが、適用できそうであれば事前に必要書類の案内をしたり、売買契約書の事前確認をしたり、資料収集や書類の作成なども頑張って、なるべく適用するようにお伝えしています。

相続空き家の特例とは?

生前に本人が住んでいた居住用財産を譲渡した場合には、居住用財産の3000万円の特別控除が使えるのですが、亡くなってから別居していた相続人が譲渡する場合にはこの居住用財産の譲渡特例は使えません。

ただし、亡くなった人が居住していて相続で空き家になった場合には、空き家対策の観点から一定の要件に該当する場合には、居住用の特例と同じように3000万円の特別控除があります。

その要件というのは、相続で空き家になったということのほかに、耐震基準の改正前に建築がされたということがあります。

旧耐震基準の建物をなくしたいというのが政策の目的ですから、旧耐震基準の建物を取り壊して更地にして売却するか、耐震補強をしてから売却をするかどうかが条件となっていました。

令和6年からの変更内容

令和5年度税制改正では、令和6年以降の売却については売買契約書に改修や除却をすることを織り込んで契約していれば、引き渡し後に改修や除却をする場合でも適用が可能となります。

ただし確定申告の必要がありますので、買主は翌年の2月15日までに取り壊しを行う必要があります。

また、改正前は相続人一人あたり3000万円の控除であったので、複数人で共有にしてから譲渡したほうが単独で相続するよりも有利であったのですが、相続人3人以上なら一人あたり3000万円ではなく一人2000万円とするというのが令和5年度改正で令和6年から適用となっています。

 

要件は緩和されたが多少の面倒くささは残ります

要件が緩和されたので適用しやすくはなっているのですが、事前に市役所に確認申請が必要となり、市役所の印鑑をもらった確認書を添付して税務署に確定申告をすることになります。

市役所ての確認申請は添付書類が多く、時間をおいて後から入手するのは結構大変な書類もあったりします。特に遠隔地の相続人などは添付書類の準備も面倒くさいかもしれません。また、売買契約書の記載内容や取り壊しのタイミングなども重要になります。

ただ、相続した空き家の場合には土地の取得価額が不明だったり、かなり安い時期に購入していることも多いものです。そうなると、3000万円の控除が使えるかどうかで譲渡所得税と住民税が大きく異なります。

税理士も本音は面倒くさいと思っていますが・・

税理士も本音は面倒くさい手続きなので、税理士事務所に頼んでも「書類の準備は大変だし、税理士報酬を余計に払って申請しても通るかどうかわからない」とかなんとか言われて、適用しないように誘導されるかもしれません。

でも、せっかく条件を満たしているのであれば、きちんと適用したほうがいいですよね。税理士が面倒くさいから申請しないように誘導するのはそもそもプロ失格なのですが、実際にはそういった輩も少なからずいると思います。

そのため、納税者本人がきちんと制度の内容を理解して可能な限り事前に必要書類を準備しておくことや、税理士や不動産屋さんにも相談して売買契約前に適用ができるかどうかの事前に確認しておくことも大事になります。

この制度は他人任せにしたり、売却手続きが完了してから相談しても後の祭りになることもありますので、必ず信頼のおける専門家に事前相談や事前確認をすることをお勧めします。

 

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