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横浜を拠点に相続対策と事業承継の支援に取り組むプライベートバンカーのブログ-TaxAccounting&Financial Planning

労務と福利厚生から見る税務の必要性

今年の税制改正の勉強会のテーマは「働く人の税金」とします

確定申告が終わると税理士業界は暇になる、と思いきやそうは問屋が卸しません。

日本では3月決算法人が多いため、、3月決算法人の決算対応と申告業務により5月くらいまでは忙しい状況は続きます。

さらに3月末までで税制改正の法律が成立し、改正に関する細かい情報も徐々に入ってくるため税制改正への対応も重要なルーティンとなります。

また、FPのスタディグループでは毎年この時期に税制改正についての勉強会の講師を依頼されるため、その準備にも時間を取られます。

そんなこんなですが、今年のSGの税制改正に関する勉強会のテーマは「働く人の税金」に決めました。

給与計算よもやま話

ファイナンシャルプランナーの勉強会なので普段は投資や不動産、相続に関する税金のテーマで話すことが多いのですが、今年は○○の壁が争点となっているため、給与まわりの話をすることになります。

そういえば給与計算についてちゃんと考えたことなかったよなあ、、ということがあって給与計算に関するよもやま話的なことを、アイスブレイク的に話そうと思っています。

給与計算と支払いはどの部署で行うの?

給与計算は中小企業の場合は事務の方が全部やるのですが、大きな会社になってくると部署をまたいで関わることが多いようです。会社にもよると思いますが、おおむね関わる部署は次の3つ。

  • 人事部:基本給の決定、昇進や昇給など人事データの管理
  • 総務部:労働時間や残業時間の管理、有給休暇の取得など
        勤怠管理システムで社員の就業状況を把握
        (勤怠管理システム→給与計算ソフトへ連動する)
  • 経理部:給与、社会保険、税金の振込手続き、会計仕訳
        (給与計算ソフト→会計ソフトへ連動する)

こういった部署が関わって、さまざまなデータを共有したり、調整して計算を行うことになります。

基本給以外に課税される手当と非課税となる手当がある?

給与明細は概ねこんな感じになっていると思います。

エリア分けをすると、勤怠管理のエリア、支給額のエリア、控除額のエリアに区分ができます。

支給額でいろいろとあがっている項目がありますが、この中でも税金がかかる手当とかからない手当がありますよね。住宅手当、家族手当、食事手当などはすべて課税対象となりますが、通勤手当は次のようなルールと上限の範囲で非課税となります。

  • 交通機関などを利用・・・月額15万円が上限
  • 自動車、自転車など・・・自宅との勤務先の距離により上限を設定

福利厚生も給与課税の対象となるの?

人手不足の影響もあって多くの会社では福利厚生にも力をいれていると思います。

会社がやってくれている福利厚生を利用するんだから当然税金なんてかからないでしょ・・・と思うかもしれませんが、福利厚生に関するものでも現物給与として給与課税されるケースがあります。

、というよりも会社から経済的利益を得ている場合は基本的には給与課税されるという認識のほうが正しいですね。

例えばこんな例・・

社員食堂、ランチ代などを会社が負担する場合

原則は給与課税だが、①本人負担が2分の1以上、②会社負担を月3,500円以下とする、のルールを満たせば非課税となる。

会社におしゃれな社員食堂やカフェがある職場って憧れますよね。でも原則は課税されます。給与明細にもおそらく食事手当やらで記載されていたり、食事代として徴収がされているはず。

会社借り上げの社宅の家賃を負担する場合

会社として住居に関して援助してくるケースが多いと思います。

多いのは家賃補助として住宅手当を支給してくれるケースです。手当ですから当然に給与課税の対象です。

一方で会社が大家さんから借りて社員に住まわせるいわゆる借り上げ社宅というケースもあります。こちらは全額非課税となるわけではないですが、一部を個人に課税されないような取り扱いになっています。

  • 固定資産税課税標準額などをもとに計算した「賃貸料相当額」の2分の1(社員負担が満たない場合は差額)が給与課税となる。

賃貸料総同額の計算がちょっと面倒な部分がありますが、実務的には支払う家賃の2分の1以上を社員の負担とすれば、会社が家賃を負担している分については給与課税がされないということになります。

その他の場合

社長賞など営業成績による社内表彰される場合の金一封は給与課税されます。一方で違う部署の業務改善の提案など、通常業務を超えた提案に対するものは一時所得で課税されたりもします。

また、10年以上の永年勤続による記念品は非課税(金銭なら課税)であったり、レクリエーション費用の会社負担などは、対象者の範囲や金額の妥当性などにより総合的に判断されたりしますが、場合によっては給与明細にも記載し、所得税の源泉徴収の対象となることもあるということに留意が必要です。

給与計算や福利厚生にも税務の知識が必要となります

こういった感じで、今回は概要だけの紹介となりましたが、給与計算であったり、通常は総務系や人事系の部署の管轄となる福利厚生などについても、税務の知識が必要となることもあります。

経理部門だけでなく、顧問税理士などに相談しながらすすめることが大事ですね。

 

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