以前こちらのブログでも紹介した不動産の取得価額が不明な場合の譲渡所得の申告につついての論点で、最近出版された本がありましたので紹介します。
税理士の風岡範哉さんの著書で、「譲渡所得税の計算における取得費が不明な場合の市街地価格指数」という長いタイトルの書籍です。
タイトルのとおり市街地価格指数に関する論点が中心になっていますが、基本的な譲渡所得の計算方法の紹介からはじまり、取得費が不明なときのオーソドックスな対処法、取得費に関する裁判や裁決例の紹介などわりとボリュームのある内容です。
結論として、取得価額が不明なときに市街化価格指数を使って計算すればよい、という話ではないということだと思います。
まずは蓋然性が高い資料があればそちらが優先になるわけで、それらのなんらかのヒントとなる価格についての裏付けとして利用するというのがまずはよさそうです。
これらがない場合に市街化価格指数だけを持ちだしてきて取得費にあてはめるのは危険であって、あくまでも他の資料や指数と組み合わせて総合判断するというのが専門家として求められる姿勢といえそうです。
本音をいうと「市街化価格指数を使って問題ない」というお墨付きが欲しいところではありますが、申告にあたっては担当する税理士が自分自身で責任をもって判断しないといけませんよね、というところを感じました。