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55歳からの「ダウンシフト」と「ソフトランディング」としてのコーストFIRE術

50代を過ぎたころから気力も体力も落ちてきました。まだまだできる、と思いながらも、そろそろペースダウンをしてもいいころかなとも気弱に思ったりもします。

今のところは55歳まではこのペースで頑張ろうとは思っていますが、逆に55歳を目安にペースダウンもいいかな、なんて最近は考えています。

55歳という年齢は、定年が現実味を帯び、セカンドライフへのカウントダウンが始まる「人生の第4コーナー」ともいえます。

このタイミングでのコーストFIREは、20〜30代のそれとは「目的」と「意味合い」が大きく異なります。若年層のコーストFIREが「長期の複利」を狙うものなら、55歳からのコーストFIREは「定年までのソフトランディング(軟着陸)」のための戦略です。

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今回は、FPの視点から、55歳でのコーストFIREを目指すことの現実味とメリットを整理します。

1. 55歳からのコーストFIRE:定義の再確認

55歳で「老後の資金(例:65歳時点で必要な額)」の目処が立っている状態を指します。

  • これまでのスタイル:必死に働いて、給料からさらに老後資金を積み立てる。
  • これからのスタイル: 投資への追加入金はストップ。「65歳まで資産を減らさない程度」に働きながら、仕事のストレスを最小化する。

いわば、「老後への予行演習」を10年早く始めるイメージです。

2. 55歳で到達するための「シミュレーション」

65歳時点で3,000万円(年金プラスアルファの備え)を確保したい場合、55歳時点でいくらあれば「追加積立なし(年利3.5%運用)」で到達できるでしょうか?

旅行や趣味も存分に楽しめるように65歳時点の目標額を5,000万円としても、年利3.5%で運用すると、複利の効果を期待すれば55歳時点では3,550万円の資金で足りることになります。3,000万円を目標額にするなら2,130万円となります。

もし55歳時点で2,000万円〜3,500万円程度の資産があるなら、もう「老後のために今を犠牲にして働く」ステージは卒業していいのです。

 3. 55歳からコーストFIREする3つの大きなメリット

 ① 健康と気力の「温存」

多くの人が60歳、65歳までフルタイムで働き、疲れ切った状態で退職を迎えます。

55歳から責任の重い役職を降りたり、労働時間を減らしたりすることで、「健康な体と心」を維持したまま老後に突入できます。

② 社会保険の「ゴールデンタイム」を活用できる

完全FIRE(早期退職)をしてしまうと、国民年金や国民健康保険の負担が重くのしかかります。

コーストFIREとして「社会保険に入れる程度に働く」ことで、低い自己負担で保障を維持しながら資産を育てることができます。

③ 「稼ぐ力」の錆びつきを防ぐ

55歳で完全に仕事を辞めると、10年後の65歳には再就職が極めて困難になります。

短時間でも働き続けるコーストFIREなら、スキルと社会との繋がりを維持でき、万が一の暴落時にも「労働収入」という最強のリスクヘッジを持っておけます。

 4. 55歳特有のリスクと対策

FPとして、ここは「愛のムチ」を。若者とは違うリスクがあります。

  • 「時間」という味方が少ない:残り10年で市場が暴落した場合、回復を待つ時間が足りない可能性があります。資産の100%を株式にするのではなく、債券や現金の比率を高める「出口戦略」へのシフトが必要です。
  • 教育費と介護のダブルパンチ:お子さんの大学費用や、親の介護費用がまだ残っている場合、それらは「老後資金」とは別に確保しておく必要があります。
  • 「退職金」を過信しない: 退職金はあくまで「おまけ」と考え、現時点の確定資産で計算するのが安全です。

 5. 55歳からのアクションプラン

  1. 「ねんきん定期便」の徹底分析:65歳からいくらもらえるかを正確に把握し、不足分を逆算します。
  2. 「やりがい優先」の仕事への切り替え:収入はこれまでの半分になってもいい、という条件で、55歳からの「B面人生」の仕事を探し始めます。
  3.  固定費の「老後サイズ」への縮小:住居費や保険など、現役時代のままの支出を、65歳以降の生活水準に今から合わせていきます。

結びに:55歳は「あきらめる年齢」ではなく「選ぶ年齢」

55歳でのコーストFIREは、「リタイアまであと10年も耐えなきゃ…」という絶望感を、あと10年、好きなように働いて資産を育てる期間にしよう」という希望に変えてくれます。

お金のために働かなくていいという心理状態は、仕事のパフォーマンスを逆に高めてくれることも多いですよ。

 

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