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【専門家が解説】想いを次世代へつなぐ「遺贈寄付」の仕組みと注意点

 

人生の集大成として、自分が築き上げた資産を社会のために役立てたい。

近年、こうした想いを形にする方法として「遺贈寄付(いぞうきふ)」が注目を集めています。

少子高齢化や価値観の多様化が進む中、家族だけでなく、母校や地域、特定の課題解決に取り組む団体などを支援先に選ぶ方が増えています。

実際に今年に入ってから遺贈寄付でのみなし譲渡の準確定申告を数件受任していますが、今回は、税務・法務の視点から遺贈寄付の制度概要と、検討する際のポイントを整理します。

「遺贈寄付」とはどのような制度か

遺贈寄付とは、遺言書を作成することによって、自身の遺産の一部または全部を特定の団体や組織に贈ることを指します。

一般的な寄付と大きく異なる点は、「亡くなった後に残った財産を充てる」という点です。生前の生活資金を削ることなく、自分の人生を支えてくれた社会や組織に恩返しができる、柔軟な社会貢献の形といえます。

  • 遺贈寄付の主なメリット
    遺贈寄付には、精神的な満足感だけでなく、実務上の利点も存在します。
  • 財産の使途を自分で決定できる
    通常、相続人がいない場合の財産は国庫に帰属しますが、遺贈寄付を活用すれば、自らの意思で寄付先や使い道を指定できます。
  • 相続税の非課税措置
    法人に対しての遺贈は原則として相続税の課税対象ではないのですが、さらに国、自治体、特定の公益法人(認定NPO法人等)に対して遺贈寄付を行った場合、その寄付した財産については相続税が課税されません。
  • 老後の生活への影響がない
    生前贈与とは異なり、あくまで「相続財産」が対象となるため、老後の資金的な不安を抱える必要がありません。また、遺言書は何度でも書き直しができるため、状況の変化に合わせて内容を調整することも可能です。

スムーズな寄付のために欠かせない準備

想いを確実に届けるためには、法的に有効な準備と、税務上のシミュレーションが不可欠です。

 「公正証書遺言」の活用

自筆の遺言書は、形式不備で無効になるリスクや、発見されないリスクがあります。

確実に寄付を実行するためには、公証役場で作成する「公正証書遺言」を選択し、あわせて手続きを行う「遺言執行者」に専門家を指定しておくことが推奨されます。

また、遺贈には特定遺贈と包括遺贈の2種類がありますので、どちらのタイプに該当するのかで手続きが変わることもありますので、注意も必要となります。

「遺留分」への配慮

法定相続人(配偶者や子供など)には、法律で認められた最低限の取り分である「遺留分」があります。

これを超えて寄付を行うと、親族と寄付先団体の間でトラブルが発生する恐れがあります。事前に遺産のバランスを考慮した設計が必要です。

資産内容による税務上の注意

現金以外の資産(不動産、株式など)を法人へ遺贈をする場合、時価で譲渡したとみなされ、亡くなった方に「みなし譲渡所得税」が課税されるケースがあります。

具体的には法定相続人や包括受遺者によって亡くなった方の準確定申告が必要となるのです。自宅や株式などを遺贈寄付する場合、含み益については課税対象となります。特例的に譲渡益が非課税となる制度もありますが、煩雑ですので手続きは非常に難しいと思います。ただし、自宅を遺贈する場合には居住用の特例が適用できますので、確定申告をすると税額が生じないというケースも多いはずです。

税金が生じた場合、この税金は相続財産から支払われるため、残された資産にどのような影響が出るか、事前の計算が極めて重要です。

まとめ

遺贈寄付は、単なる財産の処分ではありません。それは、あなたが大切にしてきた価値観や想いを、未来の社会へとつなぐ「贈り物」です。

しかし、その手続きには民法、税法、そして遺されたご家族への配慮など、多角的な検討が求められます。

もし「社会に役立てたい」という想いがあるなら、まずは信頼できる税理士や専門家に相談してみてください。

あなたの想いが最も良い形で実現するよう、客観的かつ専門的なアドバイスを受けることが、安心できる未来への第一歩となります。

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