
2026年度(令和8年度)の税制改正は、「インフレ対応型」への大きな転換期となり、私たちの生活や実務に直結する変更が目白押しです。
そのなかで見落としがちなのが、「防衛特別所得税」と「復興特別所得税」の税率調整です。
一見、毎月の手取りが変わらないように見えるこの改正ですが、実は将来への「実質的な増税の先送り」という重要な問題が隠されているのをご存知でしょうか。
本記事では、税理士・CFP・シニアPBの視点から、今回の税制改正の真実と、FPがお客様に絶対に伝えるべき「実質的な負担」の実態を分かりやすく解説します。
1. 新たに創設される「防衛特別所得税」とは?
ウクライナ、イランと大きな戦争のニュースが続きますが、中国と台湾の問題、北朝鮮など、戦争や紛争が当たり前のようになってきています。
憲法9条の問題もありますが、アメリカもあてにならなくなってきていますから、自分たちの身は自分たちで守らないといけない時代なのかもしれませんね。
日本の防衛力強化を行うための安定的な財源確保の一環として、令和9年(2027年)1月1日から「防衛特別所得税」が新たに創設されます。
具体的には、私たちが納める所得税額(基準所得税額)に対して、「1%」の税率が上乗せされることになります。
さらに注意すべき点は、この防衛特別所得税の課税期間が「当分の間」とされており、明確な終了期限が設けられていないことです。
2. 「復興特別所得税」はどう変わる?
「1%も税金が上乗せされたら、手取りが減ってしまう!」と心配になりますよね。
しかし、国は家計への目先の負担が増加しないように、現在支払っている「復興特別所得税」に調整を加えました。
東日本大震災の復興財源として、現在、所得税額に対して「2.1%」が上乗せされています。
この税率を、防衛特別所得税がスタートする令和9年1月1日から、「1.1%」へと1ポイント引き下げることになりました。
つまり、引き下げた1%分を、そのまま防衛費のための財源に付け替える(振り替える)形になります。
3. 【実務ポイント】お客様の「実質的な負担」はどうなる?
ここがFPとして一番お客様にお伝えすべきポイントです。
① 目先の税負担(手取り)は変わらない
復興特別所得税(1.1%)+防衛特別所得税(1.0%)=合計2.1% となります。
付加される税率の合計は現在(2.1%)と変わらないため、令和9年以降も毎月の給与から引かれる税額や確定申告での表面上の負担額は変わりません。
② 将来への「負担の先送り(実質的な増税)」に注意
税率を1.1%に下げたことで不足する復興財源の総額を確保するため、復興特別所得税の課税期間が10年間延長されることになりました。
本来は2013年から2037年までの「25年間」の予定でしたが、2047年(令和29年)までの「合計35年間」へと期間が延びます。
加えて、防衛特別所得税の1%は「当分の間」とされているため、実質的には将来にわたる負担増(増税)が未来へ引き延ばされた、恒久化しそうな制度だと言えます。
4. (補足)法人税への影響は?
法人のオーナー社長や経営者のお客様には、法人税への影響もお伝えしておきましょう。
法人に対しては、令和8年(2026年)4月1日以後開始事業年度から、「防衛特別法人税」(基準法人税額 - 500万円)× 4% となります。
法人税額から500万円の控除があるため、小規模な法人には配慮されていますが、一定規模以上の法人には直接的な負担増となります。
この復興特別所得税は防衛力強化を行うための安定的な財政基盤の確保のための措置となりますが、令和5年の税制改正大綱ですでに方向性としては3つの防衛財源として触れられていた内容となります。
ほかの2つの防衛財源としては法人税とたばこ税です。
法人については令和8年4月1日以後開始事業年度からこの防衛特別法人税が上乗せされています。
たばこ税も今年の4月から増税されていて、最後にこの防衛特別所得税が制度として導入が正式に決まったということになりました。
まとめ:税理士、FPとしてのメッセージ
今回の改正は、「表面上の税率は2.1%のままで変わらないものの、支払う期間が延長され、実質的な税負担は増加する」という仕組みになっています。
お客様から「防衛増税で手取りは減るの?」と聞かれた際には、「今すぐ手取りが減るわけではありませんが、税金を払い続ける期間が長くなります」と正確にお伝えすることが大切です。
インフレや将来の税負担増が見込まれる時代だからこそ、NISAやiDeCoといった国が後押ししている非課税制度をフル活用し、ご家庭の資産防衛をしっかりと計画していきましょう。



