税効果会計とは、会計と税法の認識時期のズレによって生じた差異を調整するものです。
中小企業の会計 31問31答(中小企業庁)では、税効果会計について次のように定義されています。
「会計上の収益・費用の認識時期と、税法上の益金(収益)・損金(費用)の認識時期には差異があります。法人税額の計算は税法の考え方に沿って計算されていますので、この差異を調整して税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする会計手続きを税効果会計といいます。」
会計の考え方には、費用収益対応の原則というのがあります。 費用と収益を適切に期間対応させるという会計原則です。
税金も費用の一種と考えると、今期の収益に対応すべき税金は今期の費用として損益計算書に記載されていなければなりません。
このために必要となるのが税効果会計の考え方であり、損益計算書に登場する法人税等調整額という勘定科目です。
このような税効果会計は大企業では当然採用されていますが、中小企業では必要なのでしょうか?
中小企業においても実務上の指針となる「中小企業の会計に関する指針」で適用が求められており、適切な会計処理を行うためには中小企業であっても採用することが望ましいといえます。
特に、上場企業の子会社や関連会社などは親会社から採用することを要求されることもあって必ず必要となります。
それ以外の会社については、税務署からも銀行からも税効果会計の採用が要求されるわけではありませんが、会計の専門家としては是非、検討していただきたいと思っています。