平成22年度の税制改正の目玉の一つはグループ法人税制でした。
今回はグループ法人税制について解説します。特にポイントとなるのは、単体申告と連結納税、グループ法人税制の3つの方法ができたことでこれらの相違点となります。
1.グループ法人税制導入の背景
- 経営形態に対する税制の中立の維持
…単独の会社経営でも、分社化して複数の会社を経営している場合でも公正、中立な税制が必要
- グループ経営を悪用した租税回避行為への対応
…大企業が子会社を設立して中小企業の特例の利用することを封じる効果を期待
- 組織再編、連結納税を含めたグループ税制の整備と促進
- グループ内での資金、資産の移転や配当政策などを後押し
2.グループ法人税制の概要
- 対象法人
…100%支配関係のグループ法人すべて
- グループの範囲
…完全支配関係にある法人(原則として発行済株式全部を直接又は間接に保有する関係) ・外国法人、個人、個人及び特殊支配関係人に支配されている法人を含む
- 適用開始事業年度
平成22年10月1日以降開始事業年度
※ただし、受取配当や中小法人への軽減措置などは22年4月1日以降の取引から適用
3.主なグループ内取引に係る税制改正
- 100%グループ内の法人の資産の譲渡取引
…グループ外に移転するまで譲渡損益を繰延
- 100%グループ内の法人間の寄付
…支出法人=全額損金不算入&受領法人=全額益金不算入
- 100%グループ内の法人間の資本関連取引
・受取配当の益金不算入で負債利子を控除しない
・株式の譲渡損益等の計上除外
- 中小企業向け特例措置の大企業子会社に対する適用除外
・軽減税率
・欠損金の繰り戻し還付
・特定同族会社の特別税率の不適用
・貸倒引当金の法定繰入率
・交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
4.連結納税制度の改正
- 子会社の単体欠損金の持ち込み制限の緩和
連結納税制度の適用開始前に生じた欠損金額及び連結納税グループ納税制度加入前に生じた欠損金について、一定の法人については、その子会社の個別所得の範囲を限度に繰越控除の対象とすることができる。
- 連結納税の承認申請書の提出期限の短縮
【従 来】適用開始事業年度開始の日の6月前の日
【改正後】適用開始事業年度開始の日の3月前の日
- 連結納税の加入時期の柔軟化
完全支配関係が生じた日
又は (改正)完全支配関係が生じた日以後最初の月次決算日の翌日