年の瀬が近づくとテレビのCMなどでもふるさと納税サイトが放映される機会も増えてくるように思います。
年々、総務省による縛りが厳しくなってきますが、まだまだ節税というかお得な制度であることに変わりがありません。
ふつさとチョイスなどのサイトでも限度額の計算は行えますが、給与所得者がターゲットになっているのか事業所得や不動産所得がある方の限度額計算はイマイチよくわからないということも多いようです。
そのためクライアントから相談を受けることも増えています。
ふるさと納税については下の図がわかりやすいと思いますが、「納税」ではなくてあくまでも地方公共団体に対する「寄付」ですから、基本的には所得控除の寄付金控除ということになります。
ふるさと納税の限度額計算の基本
ふるさと納税の控除額の基本的な計算方法は次のようになります。
(平成27年度の改正でワンストップ特例と下記3の限度額がアップしています(10%⇒20%))
1.所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の限界税率」
※控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。
※平成49年中の寄附までは、所得税の税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります。
住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があり、それぞれ以下のように決まります
2.住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
※控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。
3.住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)≦ 住民税所得割額×20%
※住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、この計算式で決まります。
特例分の計算結果が住民税所得割額の2割を超える場合は、 (住民税所得割額)×20%が控除額となります。
この場合、1.2及び3の3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。
限度額までであれば実質2000円の負担で返礼品をもらえますが、超えるとその部分は持ち出しという理解です。
(出典:総務省)
寄付額から2000円を引いて、寄付金控除で所得控除というのが基本系ですね。
昔は5000円だったので返礼品も5000円くらいのものをもらえるというのが最初のスタートだったお思います。
ここまでは公益法人とか赤い羽根の共同募金会などに寄付するのと一緒です。所得控除ですから所得税は税率によって節税額が異なります。
住民税は10%の定率ですからその分が節税となります。上記算式の1と2は通常の寄付金控除の計算です。
3のところがふるさと納税の特例の部分です。
寄付金控除で戻しきれない分を住民税の20%を限度に翌年の住民税から差し引きます…という制度です。
住民税の20%が限度ですが、この制限がかかるのはあくまでも特例分の計算のみです。
あくまでも所得税と住民税で控除しきれていない部分、つまり1と2とは別枠で上限額が決められていますので、所得税の税率が高い人の限度額が多いという制度です。
金持ち優遇というのはここででます。所得税の税率が高い人、つまり所得が大きい人ほど限度額が高くなる仕組みです。
算式のポイント
上記の算式でポイントになるのは3の「住民税の特例分の控除」になります。
1と2も総所得金額の上限が設けられていますが、実質的に2000円の負担額を超えるかこえないかの判断は3の計算になります。
1とか2の判定の40%とか30%に惑わされてはいけません。
計算上で必要となるのは、3の算式の「所得税の限界税率」と「住民税の税額(所得割額)」となります。
必要データ1:【所得税の予想限界税率】
所得税の税率は所得によって判定します。
前年並みの所得になるとした場合には、確定申告書の第一表の課税所得金額を国税庁の所得税の税率表に照らして限界税率を算定します。
例えば、課税所得金額が330万円を超え695万円以下の場合には20%+復興税となります。
結果、20%×102.1%(復興税)=20.42%(限界税率)を使います。
必要データ2:【住民税の予想額】
住民税の金額は基本的に翌年の6月くらいに市区町村の役場から送付されてきます。
給与所得者については給与から天引きされることもあります。
概算で求める場合には、やはり確定申告書の課税所得の金額の10%で計算します。
所得税の課税所得が600万円なら住民税は60万円と試算されます。
本当は所得税と住民税とでは所得控除金額が異なりますが、ここではあくまでも概算なので無視します。これで必要なデータは揃いました。
必要なデータは所得税の限界税率と住民税の予定額の2つ
所得税の限界税率は「20.42%」、翌年の住民税の試算は「60万円」この二つのデータを使います。
先ほどの3の算式を思い出してください。
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率) でしたよね??
ふるさと納税額(寄付額)を「X」として方程式をつくりましょう。
(X-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)=住民税の所得割額×20%
これに上記の所得税の限界税率、住民税の金額をあてはめます。
確定申告書の課税所得金額が600万円(概算住民税60万円)のケースです。
- (X-2,000円)×(100%-10%-20.42%)=60万円×20%
- (X-2,000円)×69.58%=12万円
- X=12万円÷69.58%+2,000円=174,463円
で、174,463円が限度額となります。
どうでしょうか?なかなか理解するのは難しいかもしれませんね。
何よりふるさと納税をするのは基本的には年の途中、フリーランスの場合には決算を締める前ですから、今年の所得がいくらになるのかなんてなかなかわかりません。
(だから年末調整後の12月末に駆け込みで申し込む?CMもこの時期?)
また、返礼品は一時所得【(返礼品の時価-50万円)×1/2】で課税されることになっています。このことも注意してください。
「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係|国税庁
平成27年の改正ではワンストップ特例というのもできました。
ワンストップ特例は年末調整で反映できない所得税の節税分も住民税で調整しましょう…というものです。
その結果、所得税の確定申告なしに翌年の住民税での調整だけでふるさと納税の手続きが完了します(年内又は1月初旬ごろまでに一定の手続きが必要です)。
事例で計算してみましょう!
国税太郎さんのケースです。
事業所得などの所得計算と所得控除まで各自計算してみてください。
限度額の概算計算で利用するのは所得金額から所得控除を差し引いた「課税される所得金額」となります。
課税所得金額が312万円の場合の所得税の限界税率は速算表に照らすと復興特別所得税をいれて10.21%となります。
翌年の住民税の試算は単純に10%で概算計算すると、312,000円と予想されます。
さきほどの2つの必要データが把握できました。
ふるさと納税額を「X」として方程式をつくりましょう。
- (X-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)≦ 住民税の所得割額×20%
- (X-2,000円)×(100%-10%-10.21%)≦ 312,000×20%
- (X-2,000円)×79.79% ≦ 62,400円
- X=62,400円÷79.79%+2,000円 ≦ 80,205円
で、約8万円が限度額となります。
楽天市場ならポイントもゲットできてさらにお得?
楽天市場でふるさと納税をすると通常の買い物と同じように楽天ポイントがつくようです。
さらにカードのポイントもつくのでかなりお得に寄付できるのではないでしょうか?
僕はちなみに今年はふるなびで寒川町に寄付しました。
確か、還元率50%で日本旅行の旅行券がもらえるというもの。
給料下がったから実はマイナス・・・( ゚Д゚)
furunavi.jp