士業の業界で働いていると、よく言われるのが、その資格で食っていけるかどうかという話です。
FPはどうだろうとか、行政書士や社労士、税理士、弁護士ですらどうなんだろうっていうのはその資格を目指している人だけでなく気になるところです。
僕は逆にその士業をやめても食っていけるかのほうが大事だと思っています。
今から10年以上前、実は一度だけ転職エージェントの人に会って相談したことがあります。
その頃は既に税理士登録はしていましたが、給料も今よりだいぶ少ない時期です。
30歳くらいの今の時期なら一般企業に転職して、もっといい給料が貰えるはず!そんな風にも思っていました。
まだ税理士法人という形態がなく、士業の事務所はまさに中小零細企業の代表格のようなものでした。
ところがエージェントのおじさんがいうには、それでも同世代のサラリーマンよりもたくさん給料を貰っているのは税理士だからであって、一般企業ではそんな会計事務所の経験なんて役にたたないということでした。
なにいってんだよ、このクソじじい!
って心のなかで思いました。
ただ会計事務所で働く税理士が一般企業で役にたたないのは当然で、元々そんなメンタリティではないんです。
専門家として毎日腕を磨いて、クライアントに貢献することを考えて精進してきたわけだから、そもそもサラリーマンのメンタリティが理解できるわけがないのです。
そんなタイプの人間ではなかった…ということを改めて思い知らされました。
それ以来、一般企業のサラリーマンという人生は自分のなかではなくなりました。
プロフェッショナルとしてどこまでいけるか、ただそれだけです。
結果的にお客様に認められてお金がついてくるかもしれないし、そうではないかもしれない、そのことすらとるに足らないどうでもいい話です。
給料とか報酬とかどうでもいい…という感じです。
そのころはまだ給料とか報酬が税理士の実力を測る一つのものさしや指標だとは思っていましたが…
一つのことをまず突き詰めて取りくむ。
その道で結果をだすことが大事だと思います。
そこまで道を極めれば別の道もみえてきます。
中途半端に別の道を探すとすれば、どんな資格を持っていても中途半端な生き方しかできないでしょう。
税理士をやめても食っていけるには、まずは税理士としての道を究めることだと思います。
なんだか逆説的で禅問答的になってしまいましたが、結局は一流になりたければ今いる場所で一流を目指せばいいということかなと思っています。