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令和6年度税制改正項目のうち法人税関係の改正内容を紹介

FPや弁護士などの士業が知っておきたい令和6年度税制改正の項目のうち、前回までで定額減税と住宅関係の改正内容を紹介してきましたが、今回は法人税関係の改正内容を2点紹介したいと思います。

賃上げ税制の見直し

1点目は賃上げ税制の見直しです。インフレと賃上げで景気の好循環をつくるという政府の方針のもと税制でも企業の賃上げを後押しする施策を盛り込んでいます。

令和6年度の税制改正では新たに「中堅企業」というカテゴリーを設けています。従来は大企業と中小企業という枠組みだったものに、その中間的な位置づけとして中堅企業を別枠で設けて、大企業・中堅企業・中小企業の各カテゴリーに即した適用要件や上乗せ控除の要件を定めています。

今回新設された中堅企業のカテゴリーは、資本金1億円超かつ常用使用従業者数2000人以下の法人となります。税理士が通常かかわる企業で従業員数2000人という規模の会社はありませんから、上場企業や有名企業のグループ会社、地域で名前が知られる企業以外であればほぼ中小企業か中堅企業に当てはまることになります。

今回の改正では、税額控除率の上乗せ措置の要件が変わっているほか、教育訓練費増加の上乗せ措置が見直され、くるみん認定とえるぼし認定といった厚生労働省の認定制度の適用による上乗せ措置が創設されています。

また、中小企業についてはその年度で控除できなかった金額については、5年間の繰越控除の制度も盛り込みました。従来は赤字の場合には計算することもなかったのですが、今後は赤字と黒字に関わらず判定、計算をする必要がでてきます。税理士や会計事務所としては判定しないことの責任がますます問われることになりそうです。

 

交際費等の損金不算入制度制度の見直し

法人税では交際費は原則として損金不算入となっています。ただし、交際費に該当するものでも例外的に損金に算入できる制度がいくつかあります。

  1. 資本金1億円以下の中小企業であれば年間800万円までは損金に算入
  2. 資本金100億円以下の企業は飲食費の1/2までは損金に算入
  3. 会社の規模にかかわらず1人あたり10000円(改正前は5000円)以下の社外飲食費は損金に算入

今回の改正はこの会社の規模にかかわらずに適用される1人あたりの社外飲食費が5千円から1万円に基準が上がるという点です。物価もあがっているし、飲食店のメニューも地味にあがってきていますから、この改正は時代にあっていると思います。

ただ、ここで問題になるのがインボイスとの関係です。1万円の判定は会社の消費税の経理処理がかかわってきます。消費税が課税される規模の会社になるとほとんどの会社は消費税抜きで会計処理を行う税抜経理方式を採用します。税込経理方式の場合は税込みで1万円の判定しますが、税抜経理方式の場合には税抜きで1万円の判定を行います。

飲食店がインボイスを発行する場合、税抜きで1万円となるのは税込み1.1万円となります。一方で飲食店がインボイスを発行できない場合には税込みで原則1万円となってしまいます。令和8年9月までは免税事業者からの仕入れでも8割が控除できることになりますが、税込み1.1万円での支払いについて税抜きで交際費として仕訳されるのは1万2千円となり、損金不算入となります。

では8割控除の経過措置適用時に税抜き1万円になる場合には、110/102で割り戻すことになるため10,784円までとなります。

会社によっては稟議や社内規定で、飲食費の基準を法人税の損金算入のラインとしていることも多いと思います。令和6年4月からは今までもよりも社内の基準を少し高めてもよいのかもしれませんね。

 

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