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遺贈寄付の法務・税務と財産別相続対策について

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弁護士さんと一緒に相続の仕事をするケースでは、おひとり様やご夫婦のみの相続の頻度が結構高い気がします。逆にいうとおひとり様やご夫婦のみの方は、法律専門家を利用されていることが多いのかもしれません。

そういったケースでは、遺贈寄付についても検討されているケースも多いようです。自分が担当した相続税の申告でも、お世話になった病院や施設などに寄付をするケースもいくつかありました。

遺贈寄付をした場合、実務的には意外と面倒な取り扱いになりますが、紹介している書籍なども少ないため手探りで処理をすることになります。

今回は、税理士法人タクトコンサルティング様より献本をいただきましたので、遺贈寄付について書きたいと思います。

遺贈寄付って何?

遺贈寄付というのは、遺言によって寄付をするということです。遺言に寄付という用語を使うことは少ないと思うので、文言的には公益法人などに財産を遺贈をするということになります。

公益法人などは法定相続人ではないですから、エンディングノートなどで寄付したいという意思表示をしたとしても遺産分割に参加をすることはできません。

そのため、事前に遺言を書いておくことで、遺産を公益法人等へ寄付することができます。

遺言についても、公正証書遺言や自筆遺言などいくつかの方法があります。これらの遺言には制度の違いやメリットデメリットがありますので、確認が必要です。

遺贈寄付の税務上の取り扱い

遺贈寄付は、公益法人など法人に対する遺贈や贈与となります。個人間の相続や遺贈、贈与のケースは一般的に認識がされていますが、個人から法人への遺贈や贈与についてはあまりなじみがないと思います。

原則として寄付を受けた法人は課税されないが・・・

原則としては法人は相続税や贈与税の納税義務者になることはありません。基本的には相続税や贈与税は個人が納める税金だからです。

ただし、一定の場合には法人も個人とみなされて課税される場合があります。

なぜなら、法人には相続税や贈与税が課税されないとなると、そういった性質を利用したような節税スキームが生み出されて租税回避に利用される懸念があるからです。

したがって、原則的には法人には相続税や贈与税がかからないけど、租税回避防止規定をいれこむことで課税がされるケースがあるということになります。遺贈寄付をするならこういった落とし穴にはまらないようにすることが大切です。

みなし譲渡課税に注意が必要

また、有価証券や不動産の遺贈寄付をする場合には相続税や贈与税とは別に譲渡所得税が課税されるケースもあります。

遺贈寄付は相続人が寄付をするのではなく、被相続人が寄付をすることになるため、被相続人が無償で法人に譲渡をするということとなります。

無償で法人に譲渡ですから、著しく低い価額で法人へ譲渡すること、いわゆる低廉譲渡となってしまいます。

法人に対する低廉譲渡、低額譲渡は時価で譲渡したものとみなして所得税を課税することになりますので、取得から寄付時までの値上がり額部分がキャピタルゲインとして課税されることとなります。

遺贈寄付を検討するなら事前準備が大事

ここまで書いてきたように遺贈寄付は法務や税務の実務的には割と複雑です。

特に不動産や有価証券などの資産を寄付する場合は特に注意が必要ですので、遺贈寄付を検討するのであれば書籍で学んだり、専門家に相談することが大事だと思います。

今回献本していただいた税理士法人タクトコンサルティング様の書籍は実務家向けではあるものの基本的な部分から網羅的に記載がされています。

終活アドバイザーやFPなど弁護士や税理士以外の専門家にもおすすめの書籍だと感じました。

 

 

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