相続対策セミナーの準備を徐々に行っていますが、台本のつくりこみが現在の進捗状況です。相続対策セミナーまで1か月をきっていますが、週末を中心に準備をしていくので実際にはそれほど稼働可能日は多くはないのかなと思っています。
相続対策セミナーの3つの柱
相続対策のなかでも遺言まわりのことを中心に話す予定なのですが、遺言がない場合と、遺言をつくる場合の話をして、最後に遺言以外でできる生前対策にはどんなことがあるのかという話をして締めるという流れで考えています。
- 遺言がない場合のリスク
- いざ遺言をつくる場合の話
- 遺言以外でどんなことがあるのか
遺言以外でどんな選択肢があるのか?
遺言以外で同じような効果が期待できるものとして次の3つを考えています。
- 生命保険を使った対策
- 家族信託による対策
- 揉めないための関係づくり
最後の揉めないための関係づくりのところは話すのに多少の勇気が必要です。揉める揉めないというのは最後は感情論ですが、感情のところはテクニックでうまくやれるとは言い切れないと思います。一般論として・・の説明なのかもしれません。
相続対策としての生命保険の使い方とは?
生命保険を使った相続対策として3つの柱を考えています。
- 相続税対策としての生命保険の使い方
- 公平にわけるための生命保険の使い方
- 遺留分対策としての生命保険の使い方
相続税対策としての生命保険の使い方
相続税対策としての生命保険の使い方としては一つは死亡保険金の非課税枠の利用だと思います。法定相続人1人×500万円までは死亡保険金は非課税となります。この枠を使いましょう、というのが相続税の対策としての生命保険の使い方の基本形です。また、納税資金としての確保という意味でも死亡保険金はメリットがあります。
これ以外にどんな使い方があるのかというと、多少専門的になってきますが、生前贈与との組み合わせがあります。いわゆる保険料の贈与です。保険料を贈与して子供や孫が契約者で保険に入る方法です。ただし、この方法は保険料の贈与をきっちりと税務署に証明できないと契約者は子どもや孫だけど、実質的に親や祖父母が払ったと判断されてしまいます。
公平にわけるための生命保険の使い方
遺産分割の対策として考えると、分けられる資金がないから揉めるというリスクを回避するというポイントがあります。
定期預金をしていてもいいのでしょうが、あれば使ってしまうし、保険であれば死亡するまで手元に入ってこないから別枠で準備できるでしょ、という理屈です。保険料として積み立てているわけですから、同居している家族が使い込むこともないし、安心でクリアな財産といってもいいと思います。
透明性があって、きちんと別枠で遺産分割の資金を取りおける家であれば問題ないのですが、「どうせ死んだら自分のものになるのだから」とかいいだすと、あれよあれよと名義がぐちゃぐちゃになりますから、生命保険を使うのも一つの方法かなと思います。こういう論法で親世代が生きているうちから使い始めると、相続人間で揉める原因にもなりますし、税務署も厳しい目でチェックをすることになりますので、要注意です。
遺留分対策としての生命保険の使い方
遺留分対策としての生命保険の使い方というと、公平にわけるための生命保険の使い方とあまり変わりがないかもしれませんが、今回は遺言がテーマのセミナーですから遺留分についてしっかりと理解してもらって、遺留分を確保しておかないとせっかく遺言をつくってもリスクがあるというところまで理解してもらうことになります。
遺留分対策としての生命保険は受取人の指定が最重要ポイントです。生命保険金は遺留分や法定相続割合の枠外でもらえるというのが前提となります。気持ち的には生命保険でもらったんだからその分は他の人に渡すべきではないかと思うかもしれませんが、判例などを踏まえるとよほど偏りがない限りは遺留分の計算から除外されるようです。
つまり、遺留分を侵害している相続人をあえて生命保険の受取人にしておくという作戦です。生命保険金を受け取っても遺留分の計算には影響しないので、生命保険で受け取って元々侵害している遺留分の侵害部分を生命保険で代償すればいいということになります。
相続法の改正前は物権的な権利であったため、生命保険があったとしても自宅の持ち分が欲しいといわれると難しかったのですが、相続法の改正後は金銭で解決できるのでこの手法はより使い勝手がよくなると思います。
家族信託・民事信託を使った相続対策
家族信託・民事信託を使った対策というのも遺言の代用には使えるかもしれません。家族信託の話を一から始めるとそれだけで時間がかかってしまうのですが、亡くなったあとの承継先を設定しておけば遺言と同じような効果が期待できるという話です。
ただし、信託に組み込んでいない財産については遺産分割が必要になってしまうので、せっかくなら残りの財産については遺言でフォローしておきましょうという話ができます。
信託は財産を特定するため、特定遺贈的な効果は期待できますが、包括的な指定ができないので、包括遺贈として遺言が必要となるケースもあるということの理解は必要だと思います。
揉めないための関係づくりをしておきましょう
ここまでテクニック論の説明をしてきましたが、感情論的な部分が大事ですよ~という感じで最後のまとめをする、という流れで考えています。
揉めないための関係づくりは日々のことなので、一度関係が崩れると難しいこともあると思います。それをセミナーの場で話をしても実感がないというか、変な空気感になるような気がします。話す人の年齢とか経験とか、そういったものが重みとして大事なのかもしれません。
関係づくりのキーワードとしてこんな話ができるように思います。
- 奪いあうよりも分け合いや助け合いの精神で
- 介護や看護は家族全員で取り組み、日常的に連絡をとりあう
- 陰でこそこそよりも、情報はオープンにして透明化しておく
- 親のために使ったお金については記録をきちんととっておく
- 冠婚葬祭や季節の挨拶は大切にする
僕も年齢的にはそこそこになってきているので、多少は親の介護とか財産の管理とかの相談のることもあります。先日も父親のためにケアマネさんと面談をしたり、ということもありました。年齢的には40代になってきからそういったことが急に増えた印象があります。
セミナーを聞きにくる人は親世代の人が多いかもしれませんが、40代や50代は子ども世代であり、相続人世代なのです。
そろそろ自分も相続人として当事者になる年代であり、その年代だから言えることや伝えられることを伝える、という視点で話ができればいいかな、と思っています。