株主優待は日本株投資の魅力
日本株投資の魅力の一つに株主優待の制度があります。
株主優待制度は、配当金の代わりだったり、プラスアルファとして株主に対して自社商品やサービスを提供するものです。
自分も投資をする際の判断材料として配当利回りを重視していて、判断にあたっては金銭での配当以外に株主優待も加えて計算しています。
例えばオリックスの株主優待でもらったベアレンビールの12本セットは、公式サイトでは約5,500円となっていました。
オリックスの株式を僕が購入したのは149,600円で、配当がこのほかに年間7,800円ですから、株主優待をあわせた実質配当利回り(還元率)は8.9%となります。
このほかに、オリックスが運営している施設の割引券などを利用すれば合計の利回りはもっとあがるかもしれません。
株主優待の税金とは?
この株主優待に税金はかかるのかどうか、ですが、どうでしょうか?
税金がかかるかどうかの前に、所得になるのかどうかを考えてみましょう。
ところで株主優待の実態は何なのでしょうか??
理屈っぽい話をしはじめますが、我慢してください。
株主優待は、株式をもっている会社(法人)から株主への贈答品ですよね。
「法人から個人への贈与」、、ともいえそうです。
贈与だから贈与税がかかるのか??と考えた方は、いい線をいっています。
租税法では、個人から個人への贈与は贈与税がかかりますが、法人から個人への贈与は所得税の対象となります。
つまり、その経済的利益について「所得」を構成することになります。
そのため、宝くじの当選金のような非課税になる根拠はないため、その所得について所得税がかかります。
所得税の課税対象となる、、が正解。
株主優待の所得区分は何??
株主優待に所得税がかかるのであれば、どうやって確定申告をするのか?
所得税は10種類の所得に区分されますが、これって何所得なの?という疑問が次にわいてきます。
事業所得?不動産所得?譲渡所得??・・・何となくしっくりきません。
そういえば、これと似たような制度がありますよね。それは、ふるさと納税です。ふるさと納税の返礼品は一時所得となります。
ふるさと納税の返礼品は一時所得で課税されますが、寄付したことの純粋な謝礼であって対価性がないためこのような取り扱いになります。
対価性のないものは一時所得となります。
それでは株主優待についてもそうなのか、、というと、そうではありません。
株主優待は雑所得とされています。一時所得でも配当所得でもなく、雑所得です。
雑所得ですから、他の9つの所得に該当しないので、最後の砦の雑所得で拾っていきます、という話になっています。
所得税法基本通達に下記の記載があります。注意書きでしっかりと書いています。
24-2 法人が株主等に対してその株主等である地位に基づいて供与した経済的な利益であっても、法人の利益の有無にかかわらず供与することとしている次に掲げるようなもの(これらのものに代えて他の物品又は金銭の交付を受けることができることとなっている場合における当該物品又は金銭を含む。)は、法人が剰余金又は利益の処分として取り扱わない限り、配当等(法第24条第1項に規定する配当等をいう。以下同じ。)には含まれないものとする。(平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)
(1) 旅客運送業を営む法人が自己の交通機関を利用させるために交付する株主優待乗車券等
(2) 映画、演劇等の興行業を営む法人が自己の興行場等において上映する映画の鑑賞等をさせるために交付する株主優待入場券等
(3) ホテル、旅館業等を営む法人が自己の施設を利用させるために交付する株主優待施設利用券等
(4) 法人が自己の製品等の値引販売を行うことにより供与する利益
(5) 法人が創業記念、増資記念等に際して交付する記念品(注) 上記に掲げる配当等に含まれない経済的な利益で個人である株主等が受けるものは、法第35条第1項《雑所得》に規定する雑所得に該当し、配当控除の対象とはならない。
一時所得と雑所得の違い
一時所得と雑所得では、一時所得のほうが節税面では有利です。
一時所得の計算は、年間で50万円を控除して、さらに2分の1に対して課税されます。そのため、ふるさと納税でもよほど高額ではない限り課税されることはありません。
逆に雑所得では控除するものがないため、必要経費を除いた金額が所得となってダイレクトに課税されます。
租税法上は一時所得にならないものが、最終的に雑所得となります。
一時所得は、対価としての性質をもたないものとされていますから、対価性があると該当しません。
ふるさと納税も対価のような気はしますが、、株主優待はあくまでも株主という地位に基づいて受け取る経済的な利益で、配当に近い性質という判断になりそうです。
配当所得にはならないけど、株主等である地位に基づいて供与した経済的な利益であるから対価性がある、、ということでしょう。
これに近いものに貸株料というものもあります。貸株料も雑所得です。
経済的利益の評価には課題がある
株主優待は雑所得として課税されますというところまでは理解できました。
一時所得にも、配当所得にも、他の所得区分にも該当せずに、雑所得という大きい風呂敷で拾っていく形をとります。
ただし、金額計算は微妙となりますよね。実際に確定申告書を作ろうと思うと、そこで止まることになります。
ふるさと納税については返礼品の還元率は3割が目安となっていますから、3割基準で考えておけば計算はできそうですが、株主優待では特に基準はありません。
金券ショップで販売すればそれなりの価値にはなると思いますが、ほとんどの人は売却しませんし、使わずに期限切れで廃棄することも多いはずです。
自社商品をもらっても、非売品だったら金額なんてわかりません。
また、株主優待でもらったから使ったけど、欲しいものとは違う、、という場合もあると思います。欲しくて購入したものと、もらったから仕方なしで使っているものとで同じ価値っていうのもどうなんでしょうか・・・とも思いますよね。
あくまでも経済的利益というふわっとしたものの計算になりますので、金額に換算するには限界があるのではないか、、という感じがしました。クオカードなどで汎用的で金額に換算できるものは換算して計上する必要があると思います。
公式サイトなどで同じものが販売されているのであれば参考にはなります。その他はあくまでも自己申告になるのかもしれませんね。