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趣味で学ぶ租税法と資産税実務‐TaxAccounting&Financial Planning From Yokohama

こんなケースでは贈与税に注意が必要!子や孫への上手な住宅資金贈与の方法とは?

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人生の三大支出の一つに数えられる住宅購入ですが、マイホームの購入は人生で一番高額の買い物かもしれません。

はじめてマイホームを購入するのは結婚して数年を経た20歳後半から30歳代が中心になると思います。

学食で数百円の定食を食べるかどうかで迷っていた学生時代の貧乏生活からわずか数年で、数千万円もする買い物の決断をしないといけないのですから、お金の感覚もおかしくなりそうですよね。

住宅の購入は、それまで生きてきた中で最大の出費、大きな決断になります。

そんな中で資産家のお客様のなかには、相続税対策を兼ねて子供や孫の住宅取得資金の援助をしたいという方もいらっしゃいます。

でも、間違った方法で援助をしてしまうと、思わぬ税負担がもらった側にも生じることもあるので注意が必要です。

こんなケースでは贈与税に注意が必要です!

住宅購入時に思わぬ形で税務リスクを抱えることがありますが、知らなかったではすまないのが法律の世界です。きちんと理解して対応することが大事です。

金銭の授受がないのに不動産名義を変更したケース

資金援助で気を付けたいのが贈与、贈与税ということになりますが、形式的にはっきり贈与という形をとっていなくても贈与とみなされることもあるので注意が必要です。

こんなケースでは贈与税に注意が必要です、ということで まず一つめが、「金銭の授受がないのに不動産名義を変更したとき」「金銭の支払いをしていない人の名義にしているとき」です。

次の3つのケースが代表的です。

  • 夫婦でお金を出し合う場合、頭金やローン名義など夫婦の出資割合と住宅の共有登記の割合が相違する場合
  • 同じく、夫しか出資していない、ローンの返済原資がないのに妻と共有名義にした場合
  • 親が資金出資をしているのに住宅名義を子供の名義とした場合 

夫婦の場合には売却時に3000万円の特別控除の枠を夫婦それぞれでつかえるというメリットがありますが、奥さんがお金をだしていないと多額の贈与税が課税されるかもしれません。

将来的に所得税は節税になるかもしれませんが、かわりに贈与税でとられる可能性があります。相談者の方はよく「節税」というキーワードを使いますが、どの税金がどの段階で節税になるのかまで理解せずに使っていることもあります。

どんな資産でも名義変更すると贈与になるというわけでもないですが、相続税法基本通達9-9で「不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする」と規定されています。

具体的に通達に記載されている不動産や株式については、特に名義と資金出資者との関係に注意が必要となっています。

親の名義を借りて、財産を取得したケース

これも1つ目と似ていますが子ども名義ではローンが組めないから親の名義で建ててローンも親名義なのに、実際の返済は子どもがしているというケースが時々見受けられます。もしかしたら、その逆の場合もあるかもしれません。

建物名義は親なので借金は親が返済すべきですから、子供が親の代わりに返済をしていたら返済額相当額は子から親への贈与となりそうです。

普通は裏でやりとりしますが、家賃代わりの名目で親に何らかのお金を払うべきなのでしょうか??こういうケースでは心情的に微妙ですが税務的には、子から親に返済や家賃の支払いはしないほうがいいと伝えています。

返済という名目であれば子から親への贈与となるし、家賃であれば不動産所得の申告が必要となります。

実際に住むのは子供でもいいけど、ローンの返済資金はローンの名義人である不動産の登記名義の所有者が行ってください。

返済を免除してもらったとか、常識でない返済条件で親から借金をしたケース

貸し借りをすること自体は何の問題もないのですが、その内容によっては貸し借りではなく実質贈与だといわれる可能性もあります。

よく言われる「ある時払いの催促なし」の約束では実質的に贈与とされることもあるようですが、死んだらどうせ相続するんだから返済しなくていい、、というのも返済を免除していることと同じになると思います。

80歳のおじいちゃんと返済期間50年の契約とかにすると返済するつもりはないだろ?・・とあまりにも形式的ということでこちらも実質贈与といわれることもあるようです。

条件面では無利息とか大幅に有利な利息だと丸々元金の贈与というよりは、本来もらうべき利息分の贈与と言われることもあります。

低額譲渡(時価よりも著しく低い価額での売買)のケース

著しく低い価額がいくらなのかは微妙ですが、個人間の取引では時価の8割くらい、相続税評価額以上であれば該当しないといわれています。

著しく低い価額の譲渡については買った側に、時価と対価の差額が贈与ということで贈与税が課税されます。

これはあくまでも親族など同族間の話ですので赤の他人であれば特に問題にならないことが多いと思います。
税務署がどこまで調べるかどうかの問題と自分で手をあげて自主的に申告するのかというのはありますが、このケースでは時価3000万円のマンションを1000万円で親から購入したので、時価と対価の差額の2000万円は贈与となります。

税務上のとトラブルの少ない上手な住宅取得資金の援助方法とは

このように間違った援助方法では税務リスクがありますが、それではどういった方法であればトラブルが少ない上手な援助ができるのでしょうか?

援助方法1 正式な贈与による資金援助

 一般的には110万円の基礎控除を使った暦年贈与による贈与ですが、相続時精算課税による贈与も選べますので、状況に応じて使い分ける形になります。

直系尊属からの住宅取得資金贈与の特例による贈与というのもあります。消費税増税後は最大3000万円となりますから、相続税対策を兼ねてまとめて財産移転をしたい場合などでは有効だと思います。

援助方法2 親と子の共有名義又は親の単独名義とする方法

子どものマイホームを親子共有や親名義で持つのですが、親の持ち分を子供は無償で利用し、家賃等の支払いも行わないいわゆる使用貸借とします。

本当は家賃相当の援助を受けているのですが、使用貸借のケースで贈与税を払えという話は聞いたことがないので大丈夫です。

高齢の資産家で親の財産を減らしたい場合などに有効だと思います。現金と不動産の相続税評価額の差を利用した親の相続税対策となります。

援助方法3は 親が子に住宅購入資金を貸し付ける方法

上記に記載したように中途半端に貸し借りをするとトラブルはありますが、やるなら方法に注意してやりましょうというものです。

一般的にいわれる税務署とトラブルにならない方法では次の3点に注意をして行うことが重要です。

  1. 金銭消費貸借契約書を作成し、契約書に従って確実に返済する
  2. 無利息や極端に低い利息だと利息分の贈与とみなされることもある
  3. 親の年齢や子供の返済可能額等を考慮して実現可能な契約内容とする。

贈与税と相続税の一体課税の方向性にも注意して実行しましょう

このように、住宅取得資金の援助は間違った方法で行うと思わぬトラブルのもとになりますが、節税メリットも高いケースが多いです。

令和2年度の税制改正では、相続税と贈与税の一体課税の方向性に関して記載がされました。将来的には生前贈与による相続税の節税は封じられる可能性もあるのです。

ただし、住宅の建築は景気対策にも直結する重要な経済施策なので、住宅取得資金の世代間移転を封じるということは考えにくいのではないでしょうか。

今後において相続対策を封じるような税制改正があったとしても、住宅資金の援助については何らかの税制メリットを残す可能性は十分にありそうです。

決して駆け込みで実施する必要性はないと思いますが、税制改正の今後の流れを注視しながら提案していきたいはと思っています。

 

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