「税務訴訟」と「税賠(ぜいばい)」
昨日は少し散歩がてら歩きながら研修関係の音声データを聞いていました。
税理士への賠償請求の事例です。
顧問先から税理士が訴えられるという話です。
納税者が税務署を訴えるというのは聞いたことがあると思います。
これは税務訴訟ですよね。
納税者が原告で、国が被告になって課税処分の取り消しなどを求めて争うことになります。
一方で税理士の債務不履行などを理由に損害賠償請求をするというものもあります。
それがいわゆる税賠事件です。
契約書の内容(業務範囲)が重視されます
債務不履行ですから契約で約束している事項について、報酬を支払ったのに対応してくれないというのが理由となります。
ポイントとなるのは、その業務は契約で約束した内容であるかどうか。
最近は税理士や会計事務所の業務も多様化してきています。
○○専門であるとか、××に強いというもあると思います。
例えば中小企業診断士資格を持っている税理士に顧問をお願いするとします。
名刺にも、ホームページにも中小企業診断士兼税理士、経営指導に強い税理士とうたってあります。
この税理士と税務顧問契約をしたとしますが、その場合に経営指導やマーケティング指導などは期待できるでしょうか?
この税理士が中小企業診断士の資格をもっていたとしても、契約に経営指導やマーケティング指導などが書かれていなければ、経営指導などがなされなかったとしても債務不履行を理由に争うのは難しいでしょう。
税理士や会計事務所についても、業務範囲についてはしっかり考えています。
契約をする前に業務内容や契約内容をしっかり確認しましょう
そもそも契約書を作ること自体が、万一のときに業務範囲をしっかり決めておこうという意識の表れなのですから、なるべく契約範囲を狭くするというのはリスク管理上必要なことだと思います。
依頼する側、お客様の側についても、契約後に業務範囲で争うのはなかなか厳しいので契約書のドラフトの段階でしっかりと確認することが必要となります。
会計業務、記帳代行、調査対応、年末調整など顧問料の範囲がどこまでなのか、オプションはどういったものがあるのか、経営指導や経営計画作成なども含むのか…
○○に強いとか、××資格をもっているというのと、業務範囲にそれらの仕事が含まれているかどうかは別問題となります。
低価格の顧問料の裏には、相談や電話1回につきいくら…というケースもあるようなので契約する前にしっかり確認することが必要となります。
契約書の作成と確認、これは税理士や会計事務所側、お客様側両方のリスク管理面で重要なのです。