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消費税増税直前!?FPやPBが知っておきたい消費税改正のポイント

6月に入っていよいよ消費税増税まで4か月となりましたが、なかなか消費税が増税される実感がないのが正直なところだと思います。

米中貿易戦争に始まる株価の急激な下落、G20、参議院選挙というイベントが続くことから消費税増税か見送りかの判断は6月がめどになるのではないかと推測されます。

そんなこともあって消費税の増税対応が遅れている中小企業は多いのではないでしょうか?

特に準備が必要なのが軽減税率の対象となりそうな小売業と飲食業なのですが、それでは中小企業で知っておきたい消費税増税のポイントを紹介していきたいと思います。

経過措置への対応

まず実務的な対応としては経過措置というのがあります。契約日や支払い時とサービス提供時期がずれているものなどがこれに該当します。

例えば住宅の建築工事の請負などで指定日である4月1日より前に契約したものについては引き渡しが10月以降になっても現行の8%でいいというものです。他にもリース契約であったり、電車の定期券、雑誌などの定期購読についてもそれぞれ経過措置があります。

この結果、10月以降は一時的に4つの税率が混在することになります。昔の5%の税率で契約したリースなどで残っているものがあれば5%、この後ご紹介する軽減税率の8%、経過措置の8%、そして新しい税率の10%です。軽減税率と経過措置の8%は同じではないかと思うのですが実は国税と地方税の税率内訳が微妙に違っているので処理的にはきちんと把握しないといけません。

消費税対策の主な経済政策

次に消費税対策での主な経済対策というのが準備されています。一つ目がキャッシュレスのポイントバックについてです。事業者にも多少の補助があるのですが、消費者にとってメリットがある制度になっています。

図解とQ&Aですっきりわかる! 絶対得するキャッシュレス決済超入門

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ただし、10月から来年6月までの9か月という短い期間限定となっています。キャッシュレス、、やってますでしょうか?電子マネー、クレジットカード、最近ではQR決済などもありますが、乱立しすぎていったいどれがお得なのかよくわからない状況になっている気がします。FP的にはどのクレジットカード、どの決済手段が還元率が高い、とか敏感なのかなと思います。

消費税対策としてのキャッシュバックはペイペイなど指定されているキャッシュレス決済の会社経由で還付される仕組みになるようで、どこで購入したのかによって対象になるかどうか、または還元率が異なる仕組みになっています。

  • 中小事業者や小規模な飲食店でキャッシュレス決済した場合には5%還元
  • コンビニ、外食、ガソリンスタンドなど大手系列のチェーン店では2%還元
  • 百貨店など大企業、病院、住宅など除外業種では還元なし

小規模事業者は2%の消費税の増税に対して5%還元となりますから3%分が実質割引になる感じだと思います。日本はキャッシュレス化が遅れているといわれていますからこの機会に普及を進めたいということでしょうか。 

まるわかり! キャッシュレス決済 (日経ムック)

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続いてプレミアム商品券も復活するようです。前回増税時のプレミアム商品券を購入した方もいると思います。結構お得な割引率だったので自分も購入して使ったのですが前回は購入者の制限がなくて誰でも購入できたと思います。今回は子育て世帯とか低所得世帯に限定されるようです。消費税は逆進性でお金持ちに有利と言われていますから、そういった批判への対応なのかもしれません。

この他に、住宅や自動車といった高額商品向けに駆け込み需要の反動を抑えるために減税措置がされています。

軽減税率の導入

消費税の増税とあわせて軽減税率が導入されますが、その前に簡単に消費税の計算の仕組みについて考えてみましょう。消費税の計算については概算計算の簡易課税という特例計算があるのですが、簡易課税ではない原則計算の計算方法になります。

我々税理士は通常これを本則課税と言っています。

基本形は売上、つまり収入に対する消費税から、仕入れつまり経費に対する消費税を控除したものが納税額になります。売上先から預かった仮受消費税から、支払先に仮払した消費税を控除したものということになります。8%のケースですが、54円で仕入れて108円で売却したとすると、消費税は8円と4円になりますから差額の4円が納税額となります。軽減税率について、原則は売上に関する税額の話でもあり、仕入れ側からみると仕入れ税額にも影響があるという話になります。

飲食料品については基本的にすべて軽減税率の対象となりますが、白抜きの部分は対象外となっています。

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例えばお酒類は対象外ですので、ビールとか日本酒はスーパーや酒屋さんなどで買ってもダメで、10%が適用されます。紛らわしいものの例としてよくでるのがみりんですね。本みりんはアルコール分が結構高いのでお酒扱いになっています。たぶん酒販の免許がないと売れないのではないでしょうか。スーパーなどでみりん風調味料として売っているものはアルコール度数がほとんどないので軽減税率の対象となります。

このほか、外食はだめですが、老人ホームなどでの食事は軽減税率の対象となります。出前やピザとかの宅配は軽減税率の対象ですが、ケータリングなどで盛り付けのサービスがあるものとかは対象外となります。

コンビニやファストフードなどテイクアウトなのか外食なのかも微妙なラインです。一般的には消費者が店内で食べるという意思表示をしなければテイクアウト扱いということになるようです。うちのお客さんで屋台とか出前をやっているお店とかは面倒なので全部同じ値段にするといっていたのですが、、ファストフードなどではレジで切り分けをしてテイクアウトとイートインで値段が変わってくると思います。

一体資産というのは玩具付きのお菓子などのようなものですね。これは対象になるものとならないものがあるようです。 

軽減税率のしくみと実務がよくわかる本

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補助金などを使って軽減税率やキャッシュレスに対応も

軽減税率の導入にあたっては事業者側の負担が大きいということで、特にレジの買い替えとかキャッシュレス決済導入については補助金がでているようです。

kzt-hojo.jp

軽減税率やキャッシュレス決済対応に向けて、この機会にレジの買い替えを進めるといいかもしれませんね。最近ではスマホやタブレットを使ったスマートPOSの導入も増加しています。外食しても昔ながらのレジではなく、ⅰPadを活用したレジを見かけることも多くなりました。

会計ソフトとも連動するし、料金体系が複数あって無料版からもスタートできるので、スマレジなどがお勧めです(無料版は会計ソフトとの連動はできなそうですが)。

smaregi.jp

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インボイス制度の導入

インボイス制度への移行が予定されています。現行の制度についてですが、先ほどの消費税の計算で売り上げに対する消費税から仕入れに対する消費税を控除して消費税の計算をするのですが、

この仕入税額控除の対象となる仕入れ先については特に制限はありませんでした。消費税を払っていない小規模な免税事業者からの仕入れであっても控除できていたわけです。わかりにくいですが本来は預かった消費税から預けた消費税を引いたものが中間業者として払う消費税額という仕組みです。そのため免税事業者で消費税がかからない小規模事業者から購入したものには消費税が含まれていないのだから控除しなくていいでしょ、、というのが財務省の理屈だと思います。これが段階的に課税事業者からの仕入れのみを控除の対象とするように改正されていきます。

まず第1段階として軽減税率の導入にあわせて今年の10月から軽減税率対象品目が含まれている場合には軽減税率対象と一般税率の対象を区分して記載した請求書やレシート、区分記載請求書を仕入れ側の会社で保存しないといけないルールになります。仕入税額控除ができるかできないかなので、あくまでも保存側の義務ですが、裏返すと販売側も区分記載請求書を発行しないといけないということになります。これが2023年の9月まで続きます。

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2023年10月からは軽減税率対象品目の販売事業者に限らず、すべての課税事業者が適格請求書という書式で請求書やレシートの発行が必要となります。この書式には課税事業者の証明番号である適格請求書発行事業者の登録番号の記載が加わることになります。この記載がない事業者からの仕入れは免税事業者からの仕入れなので、仕入れ税額控除の対象外となります。

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これが徐々に厳格化していくという流れになります。影響としては消費税が免税となる零細な事業者はBtoBの市場からは締め出される可能性があるということになると思います。

消費者向けのサービスではあまり影響はないですが、事業者向けのサービスについては影響がでていきそうです。

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