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サラリーマンが小さな会社を買収する個人M&Aの時代に税理士がすべきこと

先日、テレビ欄をみていると、クローズアップ現代+でサラリーマンが会社を買う個人M&Aというテーマの放送というのを発見しました。

さっそく録画設定をしたのですが、何か理由で放送が差し代わっていて実際には少し後の放送となっていました。結果的に放送されたのは6/29の回だったようです。

 

www.nhk.or.jp

 

週末を使ってバーチャルとリアルな旅にでていたのですっかり更新が滞っておりましたが、元気でしたか??私は素敵な田舎にトリップしておりました。

以前書店でベストセラーになっていたこの本も読んではいたのですが、放送では作者の方も出演していたとは気が付かずに、後で読み返したときについでに著者名で検索をして、あ~~でてはこの人・・・と気が付きました。 

サラリーマンでも会社が買えるのか?

放送後に番組内で紹介されていたマッチングサイトを見てみたのですが、確かに300万円程度で売りにだされている会社が結構でてきます。

ただ個々の会社の情報量は少ないので、実際には問い合わせをしてから情報収集が可能ということでしょうか?飲食店などは多少はネットで推測できるところなどもあるのですが、推測の域はでません。

売買手数料は成約価格の3%ですから不動産を購入するのと同じような感覚でしょうか。 

www.tranbi.com

会社を購入して経営するのですからリスクは考えないといけませんよね。

会計数値に粉飾があるのかもしれないし、税金や社会保険料などの滞納があるかもしれない。

未払い残業代や簿外の債務があるのかもしれません。

リスクについてはなんからの準備が必要ですよね。

借金は返済しておいてもらうのか、後発的な事象となる隠れ債務は契約書で保証をとっておくのか?

その辺の信頼関係が成り立たないような相手からは正直買わないほうがいいのかもしれませんけどね。

不動産M&Aも可能だが・・・

不動産所有法人も掲載されていましたが、数億円の借金付きの会社もありました。

これなんて不動産の時価を算定しないと実質債務超過なのかどうかもわかりませんから、実物の不動産を購入するのと変わらない印象があります。金融機関で債務者(おそらく保証人)変更の承認がおりないと会社の売買ができないようなのでハードルも高そうです。

ただ、含み益をもっているような会社の場合には現物を売買するよりも会社ごと買った方が税務メリットが高いこともあります。

売る側にとっては譲渡益課税が発生しませんし、不動産取得税や登録免許税などのいわゆる流通税についても節税が可能です。

この辺のことは以前、タクトコンサルティングの本郷先生の著書で読んで、なるほどねって思った覚えがあります。

 

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ゼロイチ起業よりも本当にメリットが高いのか?

サラリーマンは300万円で、、の中でゼロイチ起業のデメリットが紹介されています。確かにゼロから立ち上げるのとある程度のところで買収するのとでは倒産リスクは異なると思います。

 

 

起業は多産多死が基本です。自分が立ち上げた会社に限って、、と思うかもしれませんが、そういうものだと思います。

一方で300万円で買った会社がすでに軌道に乗っているのかというとそうではないように思います。

中小企業、特に零細な会社ほど社長のノウハウや人間性など、社長個人とイコールでなりたっています。クローズアップ現代でも失敗例として紹介されていましたが、営業経験のない人が営業力で仕事をするような会社を買ったとしてもゼロから立ち上げる以上の苦労があると思います。

逆にゼロからの起業であったとしても、経験やノウハウがあって人脈も既にできている業界や地域で起業であればスタートアップのリスクはそれほど高くないと思います。

今回のこの企画や書籍では、大企業のマネジメント経験のある管理職が会社を買って、そのマネジメントスキルと中小企業で生かせればいいのではないか、という趣旨のように思いました。人生100年時代ですから、60代を中小企業で活躍してもらえば活性化もされるはずです。

でもこの経験が生かせるのは300万円で買える会社でしょうか??

大企業のマネジメントが生かせるのは家族以外の社員が複数人いる会社で、買収価格はそれなりになるはずです。

家族経営の零細企業では大企業のノウハウはまず使えません。小規模な会社を経営するには大企業でのサラリーマンではないマインドセットが必要だし、腹をくくって、スモールビジネスを成功させるという覚悟を決める必要があると思います。

社長の専門スキルで成り立つ会社を買う場合は?

中小企業と一括りで言ってしまいがちですが、規模や業種もいろいろあると思います。

長の専門的な能力で仕事をしている会社で、そのノウハウで数千万の利益をもたらしているのであれば社長が引退してしまうとその会社の価値はゼロになってしまうかもしれません。

できれば丁稚奉公的にノウハウやスキルを承継してから引退してもらいたいものです。もしくは後継者となる人が同程度のスキルを事前に保持しているという前提でないと成り立たないように思います。

我々の会計事務所、税理士事務所の業界でも最近は後継者不足でM&A的なことも盛んになってきているようです。

後継者として資格を持っている親族や職員がいないと所長先生に何かがあると困るし、税理士が二人以上いないと税理士法人にもなれないので、まずは税理士法人として形を作って承継しつつ引退していくというのが高齢所長の考えそうなところです。

そうではなく買収というのもあると思います。支店として足場が欲しいような事務所にとってはいいと思います。地方の有力な税理士法人で東京に足場が欲しいようなところなんかは買ってくれるかもしれませんね。

我々の業界のように個人のスキルや資格で商売をしているような業種や業態であれば、後継者のスキルが買収や事業承継後の大きな課題になってしまいます。安く買えたとしても相当の覚悟と自信がないと難しいし、それならゼロから立ち上げたほうがよくない??と思ってしまいます。

税理士がちゃんと見なかった・・・?

基本的には中小企業には管理体制が整っていないから、大企業出身者のマネジメントスキルが有効、というのが書籍に書かれています。

ある意味正解だし、説明不足のところもあると思います。中小企業の業界で仕事をしていると、管理やマネジメントよりも現場力が高い社長が多いことに気が付くと思います。

一人会社や家族経営であれば、管理やマネジメントをすっとばしても、社長の現場力でなんとかなるのです。

キングダムでも、伍長レベルであればマネジメントは不要でしょうが、100人将になるころには副将となる参謀役が必要だったり、さらに規模が大きくなると軍師が必要となっていきます。

 

キングダム 最強のチームと自分をつくる (神ビジ)

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『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ

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我々税理士のやりたい仕事って中小企業にとってのCFOであり、参謀や軍師なんだよねっていつも思うのですが、実際にはそれすら必要でないレベルで回っている中小企業がほとんどなのです。僕も三国志の諸葛孔明のような軍師に憧れたもんさ(-_-)

そうはいっても書籍に書かれているように、何かというと会計事務所に確認しないと数字や決算書が読めない社長がいるというのは確かですし、経理担当の奥様ですら会計事務所に言われるとおりに入力するだけでその先の決算書とか管理会計やらはさっぱり、、というところがほとんどです。

それが税理士のせいと言われればそうですけどね。

この話を逆説的に読むとこうなる??

それでこの本を読んだ話って逆だよね・・というのが僕の感想というか意見です。

これはあくまでも税理士的、会計事務所的な発想の「解」ですが、大企業でマネジメントを学んだ人が中小企業を買うというのも大事だけど、今の中小企業の経営者にもマネジメントや経営管理を学んでもらったり、我々がお手伝いをするほうが先なのではないか?という話です。

そんな黒船的に大企業の論理がまかり通るわけでもないのが地方の中小企業ですから、その地域で生まれ育った後継者にきちんとバトンタッチができるようなマネジメント体制を中小企業が整えていく支援をしていくのが税理士の使命でしょって思いました。

 

 

 

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