税理士事務所の顧問先が大小いろいろです
街の帳簿屋でもある税理士事務所の顧問先は規模のレベル差が本当に激しいものがあります。午前中に家族で商店を数十年経営している老夫婦と打ち合わせをしていたと思うと、午後はインテリジェンスビルの高層階で上場企業の社長と面談している、、なんてこともあると思います。
どちらの仕事がやりがいがあるかと言われると実は答えにくい問題ではあります。規模が大きくて誰しもが名前を知っている会社に関わりたいとも思う反面で、地元の中小企業を支えるのが税理士の使命だと思う部分もあって選ぶのはなかなか難しい。
できれば事務所内で役割分担を決めて取り組めばいいのですが、それもなかなか。最近は資産税と医業、大規模法人の仕事を並行してやっていますが、本当はどちらかに絞りたいし、正直しんどい話です。
最近取得した資格のシニアPBもそうですが、資産税の領域では設定している顧客層が上場企業オーナーだったりするので、資産税も企業税務や法務についてもそれなりの知識が必要となっていきます。
顧問先からグループ経営の相談を受けたらどうしよう・・なんていうのも実はプライベートバンカー的な業務で、メガバンクや証券会社のPB事業部や最近ではウエルスマネジメント室なんかとの競合になりつつあります。
最近の地方都市の税理士法人は金融機関との競合を意識して戦わないといけない時代なのです。
そうはいっても金融機関もそれほど高いノウハウはなく、実際には東京の大手税理士法人に丸投げしているのかもしれませんけどね。
地方都市の優良顧客をがっちり抑えるためにはM&Aやグループ経営のノウハウも重要
税理士法人に限らず、信金や地銀などの地域金融機関についても同じことがいえるのかもしれませんが、地方の優良顧客を抱え込むためにはプライベートバンカーの知識やスキルが必須といえると思います。
日本証券アナリスト協会のPB資格に挑戦するのが一番ですが、「プライベートバンキングの基本技術」という清文社の本はPB資格保有者に必要な知識がまとまっていたと思います。ただし、税制など制度が変わっている部分もありますから自分の中で更新をかけないといけないけど。
富裕層マーケットで勝つための新たな営業手法 プライベートバンキングの基本技術
- 作者: 岸田康雄
- 出版社/メーカー: 清文社
- 発売日: 2015/11/10
- メディア: 単行本
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我々のような地域の中堅税理士法人の顧客層の中ではこういった規模のお客様は1件、2件あるかどうかというところだと思います。だからなかなかノウハウが付かない部分です。もう少し複数関わるときちんとしたノウハウになるのかもしれませんが、毎月の通常業務の合間に対応するので結構大変です。
オーナー系企業だけでなく、監査法人が入っている規模の会社の税務申告に関わるのは件数の割に知識のブラッシュアップが必要なコスパの悪い業務だと思います。
逆にメガバンク系のウエルスマネジメント部門やそこの抱えている税理士法人はそこに注力しているからそれなりに事例を抱えていると思うので、その時点でアドバンテイジをとられているように感じます。
我々が所属している団体、中堅・大企業支援研究会ではTKC会員のノウハウを結集して日々精進していますが、そうはいってもそればっかりやっているわけでないのでね。
グループ法人経営を学ぶならこの2冊
そういうことで、自分で情報収集と勉強をしていかないといけないのですが、最近購入した本がこの2冊です。
「グループ経営をはじめよう」は、記事執筆現在で第4版まででています。あがたグローバル税理士法人はTKCの会員向け研修でも講師をしているので、TKCシステムを利用しているのかもしれません。
本の内容は初心者や実務家にとっつきやすいわかりやすいと思います。グループ経営を考え始めるとことから、運営、海外展開、子会社売却といった出口戦略まで網羅されています。
簿記や会計の知識がないと厳しい実務的な部分もありますが、最初は専門的な部分は読み飛ばして読み物的に読んでみても内容が頭にはいってくると思いました。
特に経営者にとっては実務的な部分よりも、メリットやデメリットなどの意思決定に関する部分が重要だと思います。
この本ではそのあたりのことも書いていました。
次の書籍は持株会社の実務という本です。第8版まで来ているので、さすがに洗練されていて読みやすいと思います。学術的、実務的な本になっていますが、図解も多くてわかりやすいと思いました。実際に持株会社のプロジェクトが動きだしたら座右に置きたい本です。