税理士の基本業務とは?
税理士の仕事の大部分は、クライアントと面談して資料を収集し、税務システムに入力をして申告書をまとめることです。
基本的には国税局や役所が用意している申告書や届出書などのフォーマットに文字や数字をいれる作業となります。
税務申告書や税務書類の作成ができて税理士としては一人前という感じですが、このレベル感だと正直いって補助者や職員でできる仕事です。
仕事をはじめて数年すると、このままこの仕事をやり続けて大丈夫なのか、と心配になると思います。
次のステップとして法律家としての税理士を目指す
そこで次のステップしてどんな税理士を目指すのか悩むわけですが、人によっては独立をして経営者としての道を進む人もいるでしょうし、仕事と割り切ってそれまでと同じような仕事を続ける人もいるでしょう。
自分は次のステップとして法律家としての税務判断ができるような税理士を目指すことにして、今にいたっています。
ただ自虐的にいうと、目指しているだけで、別にすごいレベルの税理士というわけないですけどね。
あくまでも専門家としての矜持というか、自己満足のためのものですから、どんな税理士を目指すかは人それぞれ、十人十色でいいと思います。
自分は事務所経営を強く意識して仕事をするのでもなく、フォーマットやテンプレートに文字や数字を打ち込むだけの税理士ではない、法律家としての専門職を意識して活動をしています。
税理士業務の中で文章を書くスキルの優先順位とは?
そんな活動の中では、法律家っぽい文章を書くという技術も大事だと感じています。
自分で考えて、判断をし、文章にする、こういったプロセスを重視することは当たり前のようでいて、忙しい日常の実務の中で実際に行うのは難しいというのが実感です。
そんなわけで、文章を書くというスキルを身に着けようと思っても実務では誰も教えてくれないし、普通に仕事をやっていても身につく話ではありません。
本を読んだり、文章を書くことが好きな人間からすれば残念なことではありますが、本当は必要だけど忙しい時間の中ではついつい後回しにしてしまうからです。
練りに練った文章を作るよりも、さっさと書類をまとめて効率的に作業をすることが実務では求められます。
では、どうやって文章力を身に着けていくかというと、これも書籍で学んで業務外で訓練するほかにはないと思います。
文章力をアップするためのお勧め書籍
ではどんな本で勉強すればいいのか、というのが今回の記事のテーマです。
税務意見書の書き方
最近出版された本で、Amazonで購入したのが税務意見書の書き方という本です。
著者は弁護士の方で、青山学院で法学ライティングの授業も担当されている方のようです。
税務意見書というのは実務で書いたことはありませんが、書くような機会があれば参考になりそうです。
それ以外にも税務判決や裁決などの読み方、勉強の仕方のヒントとなるような話もありました。
文章力アップを目指すならおすすめだと思います。
法学ライティング、センスのよい法律文章の書き方
同じく青山学院で教鞭をとっている木山泰嗣さんの書籍です。
いずれも税務に特化した本でないのですが、上述の書籍と基本部分は共通しているので、さきほどの書籍と矛盾なく読めます。
法学ライティングは、学生向けの構成になっており、先生と学生とのやり取りを通じて解説していく方式をとっています。
センスのよい法律文章の書き方は、書き方の流儀や技術論を学べる本になっています。
税理士の仕事のなかで文章を書くというシーンはいわゆる書面添付、税理士法第33条の2の書面の作成ということが多いと思います。
こういった税務署への説明文書を書くうえでも参考になる書き方の技術が学べる本になります。
文章を書く技術+文章を読む技術=考える技術
税理士の仕事で重要なのは本来は税務に関する法律判断、税務判断をすることです。
税務判断とは、法的三段論法にもとづく法律解釈と事実認定に他なりません。
税務判断にあたって重要なのは「考える技術」であり、考える技術は「文書を読む技術」と「文章を書く技術」を通じて養われていきます。
これらはテンプレートに文字や数字を入れるだけの仕事では身につくものではありません。
上位スキルとしては税務判断の技術を身に着けることですが、下位のスキルとして文章を読む、書くというスキルが必要になります。
基礎スキルを身に着けるのは、地道で地味なトレーニングになりますが、地味な努力こそが将来報われると信じること、これが一番大事なことなのかな・・・
という話でした。