平成23年6月の税制改正で消費税のいわゆる95%ルールが見直されました。
この見直しにより平成24年4月1日以後開始する課税期間から課税売上高が5億円を超える事業者は課税売上割合が95%以上の場合でも「個別対応方式」又は「一括比例配分方式」のいずれかにより計算をしなければいけないことになります。
課税売上高が5億円を超える会社では非課税売上が利息しかないような会社でもこの対応が必要となるという見解もあり、経理・税務担当の方たちは対応に苦慮されているようです。
この見直しにより改めて消費税法30条(仕入税額控除)の理解、解釈が議論されています。
そもそもの改正の影響よりも、この条文をどう解釈し、実務的にどう対応するかということが問題になります。
例えばこんな議論があります
- 本業の収入が99.9%で、非課税売上がわずかに数円、数十円ある場合でも本社の経理部門で使う経費は共通仕入れの扱いになるのか?
- 社宅を賃貸しているケースでは、社宅を管理している総務部門で使う経費は共通仕入れの扱いになるのか?
- 管理部門の電話代や名刺代、会議費などはどのように扱えばいいのか?
これらの議論については、掲載されている雑誌や実務家の方ごとに多少の解釈の違いがあるようです。
国税庁からも特に今回の改正にあたっての通達や情報の開示などは行われていないようで、このことが混乱に拍車をかけています。
しかし、この取り扱いは課税売上割合が95%を切る会社では従来から行われてきたもので、95%ルールが見直されて初めてでてきたものではないというのも悩みどころです。
ここで改めて解釈が変わってしまうと、今まで95%を切っている会社の取り扱いまで影響がでてきます。
いずれにしても、4月から多くの会社で対応が必要となります。実務対応に当たってはまだしばらく混乱するのかな…という感じですね。