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プライベートバンカー・ウエルスマネジメント・ファミリーオフィス・エステートプランニング・資産税の専門家を目指す税理士のブログ-TaxAccounting&Financial Planning

フリーランスや士業事務所が緊急時に行うべき資金繰り対策とは

東京都の感染者は再び増加傾向にあり、東京都や政府は否定していますが第2波では?という感じは誰しも考えていると思います。

でも、再開しはじめた経済に対して再び自粛要請をするといよいよ日本経済も厳しい状況になるかもしれません。

感染予防と経済優先のギリギリのラインで踏みとどまれるかどうか、まさに土俵際の状況になってきました。

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緊急時に必要なお金の知識

ここからはより実践的というか実務的な資金繰り対策で、中小企業向けではありますが、家計でも同様のことはあてはまると思います。

家計にも置き換えて考えてもらえるといいかと思います。

大事なポイントは1つだけですが、

「キャッシュポジションをあげる」

ということになります。

中小企業の手元資金は月商の1倍程度が通常で、これだと営業自粛や病気や怪我などで1か月以上営業ができないと資金が枯渇して倒産することになります。

そのため目標としては2、3か月で、なかなか難しいですが理想は6か月程度の資金が手元にあるといいと思います。

家計では最低でも給料の3倍の貯蓄が必要かな?と思いますが、コロナの影響で生活に困窮する人もでていますから実際には貯蓄ゼロの家計も結構多いのかもしれません。

入るを図りて出ずるを為す、、といった言葉もあります。

収入を計算して、それに見合った支出を心がけるといった財政の心がまえの言葉のようですが、資金繰り対策としてキャッシュアウトを減らす対策キャッシュインを増やす対策の2種類の対策があります。

特に緊急時においてはキャッシュインを増やす対策は限られていますので、まずは出血を防ぐキャッシュアウトを減らす対策を先に行う必要があります。

キャッシュアウトを減らす対策

まず行うべきことは支払いに優先順位をつけて、支払いを先延ばしにする対策です。

ここでは順序が大事だと思います。手形については支払いが遅れると手形事故になってしまいますから優先順位は一番高いのですが、問題はその下の順位です。

手形についても方針としては万一支払いができなくても直ちに取引停止にはしないということにはなってはいるようです。

社員の給料や外注や仕入先の経費の支払いは優先的に

経営者は割と逆に考えがちですが、特に従業員の給料などは家賃や税金、借入金よりも優先して支払うべきものとされています。

税金や社会保険料、借入金などは事情があれば待ってくれますので、それよりもビジネスパートナーである社員や外注先、仕入先に優先して資金を回すべきと思います。

順序をつけたら具体的にどのように対処していくかですが、単純に支払いを止めるのではなく交渉や手続きをしてから、先送りしたり、見直しをしていく形になります。

借入金であれば金融機関などと交渉や相談をすることになりますし、税金や社会保険料なども正規の手続き踏んで猶予や期限延長を受けることになります。

時々勝手に止めようとする方がいますが、信頼関係が前提になりますので段取りを踏んで行うことですし、税金などでは手続きを踏まないと延滞税などがかかることもあります。

広告費や交際費、会費などの経費はこの機会に見直す

広告費や交際費などの削減可能な経費は費用対効果を検証したうえで、この機会に大幅に見直しをする必要もあります。

家賃なども大家さんに交渉する余地はあると思います。

役員報酬の減額には制限がある

役員報酬や人件費の削減というのもあります。役員報酬は、定期同額給与といって毎期定期株主総会で決めた役員報酬は1年間同額で継続しないといけないという法人税の制約がありますので、簡単には減額ができません。

ただし、経営状態や財務状況が著しく悪化した場合には特例的に減額できることになっていますので、今回のコロナウイルスの影響で大きく収入が減少した場合などは認められると思われます。

人件費については解雇や雇止めなどを決断する前に給付金や助成金などを使って雇用を維持できないかどうかの検討をする必要があります。

キャッシュインを増やす対策

まずは現金化できるものをかき集めるという対策が非常時には有効になります。

生命保険や共済は一時貸付の制度がある

支払った生命保険契約について契約者貸し付けという制度があります。

通常は利息がかかりますが、大同生命などは無利子で契約者貸し付けを行うということもやっていました。

その他に政府系の共済の活用という手段もあります。

倒産防止共済や小規模企業共済について、これも一時貸付制度や共済金の受け取りなどでキャッシュ化も可能となっています。

また、定期預金や定期積金などの解約手続きも進めていったり、経営者や親族から余裕資金を借り入れるいわゆる役員借入金でのキャッシュインがあります。

貸借対照表を見直して現金化できるものを探す

その他に貸借対照表を確認して資金化できそうなものを考えると、在庫の早期資金化や売上債権の早期回収というのもあります。

相手あってのことですので今回のような周りもすべて厳しい時期は難しいかもしれません。

遊休資産なども現金化可能ですが、売り急ぎとなると足元を見られるので別の方法で急場を凌いだあとで考えたほうがいいかもしれませんね。

その他、給付金や助成金、資金の借り入れなどについては先ほども紹介した内容になります。

政府系や信用保証協会などの、使える公的な支援をなるべく使うということが大事だと思います。

 

 

フリーランスや1人士業の事務所こそ経営計画、じぶん計画をつくるべき

会計事務所の仕事として経営計画作成の支援というのがあり、今後はさらに重要になるということで商品化にむけていろいろと調べているところです。

調べているなかで気がついたのが会社の経営計画よりも個人の経営計画のほうがわかりやすいし大事なのではないかということです。

-皆さんは自分の経営計画をもっていますか?-

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中小企業でも規模感で全然違う話

中小企業でも実は規模はかなり異なっています。1人会社、一人事務所から社員100人くらいでもまだまだ中小企業に入ってきます。

収入も1000万円を目標にするところから5億円、10億円を目標とするところまで様々で、一律に経営計画といっても内容がかなり違うように思います。

特に社長の下に各部門があり、部門長などを配置している場合には各部門の計画や予算管理と全体の計画や予算管理を並行しないといけなかったりして、この計画や予算管理を支援しろ、、と言われても会計事務所のスタッフレベルでは無理でしょ・・・と思ってしまいます。

規模が大きいほど経営計画をつくるのも、進捗状況をモニタリングをするのも手間がかかるし、難しくなる、、そんな風に思いました。

これを社員100人規模の会社で実践しようとすると大変だ・・・

小規模企業、1人事務所なら作った成果が直結する

これに対して1人会社、1人事務所であれば実施するのはそれほど難しくないと思います。

本人の頭の中にあるイメージを書面にして、数字に落とし込むのですから。ほとんどの事務所ではやっていないと思いますが、所長の方針や計画を作りこむというのは効果が高いと思います。

吉田松陰の言葉ですが・・こんな言葉があるそうです。

夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。

前から読むか、後ろから読むかというところもあります。

前から読むとこういうことになりますよね。

夢があるから理想が生まれ、理想と現状とのギャップを埋めるための計画が生まれ、計画をもとに実行に移り、成功につながる・・ 

夢や理想はあっても計画をたてたことはありますか?

そして後ろから読むとどうなるでしょうか?

  • 成功したければ実行をしろ、とにかく動け
  • ただ動くのではなく、計画に基づいて動け
  • 計画は現実に即してではなく、夢や理想に基づいて作れ

小さな会社や一人士業の事務所であれば社長や所長が動かないと死活問題ですから実行をしてとにかくやみくもに動いている人は多いと思います。

そして、夢や理想を抱いて会社を作ったり、資格を取得したりしたはずです。

でも、計画はたててましたっけ??

夢や理想から一気に行動になっていませんか??

自分もそうですが、やっぱり間がすっぽり抜けているような気がしてきました。

夢や理想とかやりたいことのイメージは何となくあるし、行動をしていないわけではないのです。でもなかなか結果がでないし、夢や理想からはちょっと違う現実が目の前にあるわけです。 

自分自身の経営計画や行動計画を立てるところからやってみる

環境のせいや誰かのせいではなく、計画をたてずに走っているから効率が悪いと思えてきました。

経営計画とか事業計画とかだいそれたものではなく、夢や理想と行動を結びつけるための計画。いうなれば自分のための計画書「じぶん計画」だと思います。

独立しているとかしていないに限らずに自分自身の経営計画や行動計画をたてることで、なんとなく結果がもっと違うものになるように思えます。

ということで、経営計画の作成について準備をしているところですが、とりあえず参考書籍として購入したのが次の本です。

 

改訂版 はじめての経営計画100問100答 (アスカビジネス)

改訂版 はじめての経営計画100問100答 (アスカビジネス)

  • 作者:小笠原 士郎
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
CD-ROM付 ドロくさいけど必ず結果が出る! 経営計画のつくり方

CD-ROM付 ドロくさいけど必ず結果が出る! 経営計画のつくり方

  • 作者:古田土 満
  • 発売日: 2010/08/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

次の経済危機に備えて平時に行っておくべきこと

来月行う予定のFPのスタディグループの勉強会のレジュメ作成を今週は行っています。

しかし、今のところはあくまでも予定。本当は2月に行う予定がコロナの影響で延期になって、さらにテーマも変わったために資料の作り直しの作業です。

今回は緊急経済対策の内容について紹介する、、という企画です。

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緊急資金繰り対策支援でみえる会計事務所の未来

税理士法人で行っている仕事のはずですが、自分はあまり関わっていないため実際には調べるところからスタートになっています。

それでも会計事務所って何のために存在するのか、こんな支援ニーズがある、、、というところから「会計事務所の未来像」がなんとなく見え隠れするような気もしています。 

税理士の未来

税理士の未来

  • 作者:坂本孝司
  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: 単行本
 

経済危機のときの支援策は再現性のあるテーマ

緊急経済対策について紹介するのですが、やはり東日本大震災やリーマンショック時に行った支援の教訓がいきていると思います。

コロナウイルスについては震災や金融危機のときと異なって、感染対策で経済活動が制限されるという違いがあります。そこは全く違うところ。

でも税理士、会計事務所として中小企業のためにやるべきことに共通項は多い。

10年に一度、100年に一度の災害、経済危機・・・と言われても、これからは同様の危機が頻発する時代になってきています。

疫病や感染によって多くの人が死ぬのかもしれませんが、経済危機でも多くの人が命を絶ちに、不幸な人が増えてしまいます。

感染予防と経済の再建をどちらを優先するのかは難しい天秤になりますが、どちらも大切、、ということは間違いない話です。

そして、もはやいつ、どんな危機が起きてもおかしくないという前提で備える必要があるといえます。

平和ボケして危機を忘れないことが大事だった・・・(本当は、)

確かに今はコロナショックの真っただ中です。

でもこういった経済危機でも喉元過ぎれば熱さを忘れる、、ということで、時間が過ぎれば風化して平和ボケしてしまうのだろうな、、と思ってしまいます。

ということで、平時でもこれはやっておかないといけないという話。

むしろ本来は、東日本大震災やリーマンショックを教訓にして、十分に備えていなけれればならなかったことなのでしょう。

、、というは易し、行うは難し。結果論だから後からいうのは誰でもできる。

要は次の危機に向けて行動するのか、しないのか。

会計事務所、税理士事務所としての取り組むべきことは?

会計事務所的にはこういったことが提案できるかな、と思います。

できるかどうか、やるかどうかは別で、実際は他の仕事が忙しければできないし、忙しさを理由にやらずじまいという可能性も否定できないが、記憶には留めておきたいところ。

  1. 事業計画、経営改善計画を策定し、活用する
  2. 利益を社内に残して内部留保を厚くする
  3. 事業ポートフォリオを見直し、収益構造を改善する
  4. キャッシュアウトを減らし、キャッシュインを増やす

具体的にどうこうというのは別にして、不断の心がけというか習慣ということになるかもしれません。

こういったことに心掛けていけば、強い会社になり、経営が安定する、、ということかなと思います。

FPの勉強会としては家計に置き換えて共有したい

FPの勉強会なので経営者だけではなく普通のサラリーマンFPも参加します。そのため、家計に置き換えるとどうでしょうか・・・ということも伝えておきたいというところです。

  • 事業計画、経営改善計画の策定
     …家計ではライププランやCF計画表の活用
  • 利益を社内に残して内部留保を厚くする
     …家計は給料から一部を投資や貯蓄にまわす
  • 事業ポートフォリオを見直し、収益構造を改善する
     …
    家計では副業や資産運用など家計収入の複層化を目指す
  • 平時でもキャッシュアウトを減らし、キャッシュインを増やす
     …家計を見直し・節約し、スキルの取得などで収入を増やす

自分の投資や貯蓄でいうと、やっと含み損がなくなり、プラスに転換しはじめました。

米国株投信、世界株投信は米国株の急上昇と円安とで右肩あがりになっています。そうはいっても一喜一憂しないのいが積立投資なのでこれは継続は力なりではあるのですが、数字がよくなると単純に嬉しい。

日本株も16銘柄に分散しているため、早めに上昇している銘柄と出遅れている銘柄とがありますが、それでもトータルでは何とかプラス圏まで来ました。コロナショック時に買い足したものもあるため、どこかで利益確定したい部分もあります。

自分自身もこの4つの項目すべてを実践できているとは言えない部分もありますが、少しずつでも実践して、次の危機に備えたいと思っています。

お金は寝かせて増やしなさい

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  • 作者:水瀬ケンイチ
  • 発売日: 2017/12/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

士業事務所の新人職員は知識をつけるより前に基礎スペックをあげるべき

緊急事態宣言も解除され、新入社員も社会にでて実際に配属されて仕事をはじめてくるのではないでしょうか。

税理士や会計事務所の入社時期は税理士試験後の9月からというところも多いと思いますが、新卒採用に力をいれている事務所も最近は増えていると思います。

税理士、会計事務所での新人育成については当社でも悩みどころではあり、いつも正解を探しているのが実際です。

会計事務所でどうすればうまく育ってくれるのだろう???

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新人の頃、、、なんてうまく思い出せないくらい昔のことですが、駆け出しのころについついハマってしまうのが、知識をつけなきゃいけないという焦りです。

先輩や上司はいろいろな知識をもっているし、お客様からもあれこれを聞かれてしまいますが、対応できるほどの経験も知識もないために焦ってしまいますよね。

別に試されているわけでもないし、いじわるをしているわけでもないのですが、何とかその場で回答しないといけないと思ってしまったりもします。

でも、その場で回答せずに持ち帰って検討してもいいし、上司や先輩に相談をしてもいいのが現場の仕事です。むしろ中途半端な知ったかぶりの回答をすることで後で大変なことになってしまうことのほうが恐ろしい、、と先輩や上司は思っています。

まあ、焦らずに対応していけばいい、、というのが実際のところではないでしょうか。

どのアビリティから取得すればいいの?

さらに最近思うのは知識よりも基礎スペックのほうが重要だということ。

RPGとかハスクラ系のゲームでよくあるアビリティを何からゲットするか・・・。

必殺技がだせるアビリティにするか、強力な魔法か、それとも体力などの基礎的な数値をあげていくのか?

これって割と本人の好みというか、プレイスタイルによりますよね。

僕はどちらかというと序盤は基礎数値をあげるようなアビリティから取得していくタイプです。後半戦で必殺技などの実効性の高いものを取得する。

だからなのか、実務でもまずは基礎スペックから、、と考えてしまいます。

目先のことだけ考えられば、即効性の高いものを選びたくなるのですが、まずは土台を固めてから。

実務で必要な基礎スペックとは?

基本的には「心技体」ではあると思います。メンタルというかメンタリティを鍛える、技を磨く、体力をつける、、これらは実務というよりも人生においてかなり重要な要素です。

まずは「体」

士業の仕事は体力勝負です。時には夜中まで仕事をすることもあるし、土日も休まず、、、ということもあります。

サラリーマンとは違って替えのきかない仕事です。倒れたり、病気になったら収入が止まると思った方がいいと思います。

まずは体力をつける、健康管理に気を使う、、これは鉄板。

さらに「心」

メンタルも重要。誰かが管理してくれるわけでもないし、親や先生が勉強しろと言ってくれるわけでもありません。

さらにお客さんからの理不尽な要求や利害関係者の板挟みになることもあります。

それでも前に進むためにはメンタルを鍛えて、自分の心を整えるスキルも必要になります。

モチベーションは誰かがあげてくれるわけではないので、自分でガソリンをいれていくしかない。

そして「技」

士業や会計事務所職員にとっての技って何??と思ってしまいますが、自分は「読み・書き・算盤」ではないかと思っています。

条文を読む、資料を読む、相手の気持ちを読む。読むというのは仕事の基本だと感じることが多いです。

書くというスキルも実は大事で、会計事務所職員のなかには帳簿を作ったり、税金計算をするのは得意な半面で文章を書くのが苦手という人が多いと思います。

わかりやすく表現をしたり、うまく言語化して説明したり、パワーポイントなどで図解する技術は意識して身に着ける必要があります。

会計事務所職員であれば、算盤、、はいいと思いますが、しっかり計算をすること、分析をすること、は常識的にできてあたり前のスペックになります。

税法とか会計の知識はどの程度必要なの?

本当に基礎的な知識は必要だと思いますが、それ以上の知識は最初から焦って身に着けなくても数年でしっかり身に付きます。

やみくもに知識を習得するよりも、どうやって学ぶか、といった学び方を身に着けることのほうが大事です。

つまり知識そのものよりも、勉強方法であったり、調べ方、知識の定着の仕方を習得するほうが大切なのです。

知識はそのとき限りのスキルですが、「勉強の仕方は一生もの」です。

「スキルを身に着けるスキル」が身につくのであれば、それが最強ではないでしょうか。

資格試験でも合格体験記や勉強方法をまず読んだほうがいいと思うのですが、一度身に付いた試験の合格のコツは他の資格試験でも流用できると思います。

実務でもまさにこれと同じことがいえます。一つの業務のやり方をしっかり身に着けて、再現力を手にいれれば他の業務の習得にも役に立ちます。

逆に一つの仕事を消化不良のままにして、いろいろな業務に手を付け始めると全部中途になりかねないのです。

知識や業務スキルを身に着ける近道はこの再現力を手に入れることかな・・・と最近思っています。

僕は木山泰嗣先生の著書が好きなのですが、基礎スペックを身に着けるためにはちょうどいいレベル感の著書が多いです。 

税法思考術

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情報をさばく技術

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  • 作者:木山 泰嗣
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: 単行本
 
〈超入門〉説明術

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  • 作者:木山 泰嗣
  • 発売日: 2013/08/08
  • メディア: 単行本
 

 

手続き型の会計事務所が提案型を推進する方向性とは

士業の事務所で常にテーマとしてあるのが手続き型か、提案型かという業務スタイルの違いです。

基本的には士業の仕事は何らかの手続きですから、手続き業務が仕事の中心になっていると思います。

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一方で、提案型、コンサル型に軸足を移していかないとじり貧になる、という危機感をもっている事務所も多いのではないでしょうか。

単なるコンサルは銭にならない覚悟でやる

では明日からコンサル業務をやってみるか・・・なんて言ったところでそんなノウハウあるはずがありません。高額なセミナーを受講したところでなかなか取り入れるのは厳しい。もう何度も挑戦したけど結果はでていない。そんなところではないかと思います。

コロナショックの影響で多くの士業もこれからどうやって売り上げをあげていこうかと悩んでいる時期だと思います。自分も朝からそんなことを考えていました。

会計事務所ですから経営計画や事業計画などの作成支援などで付加価値をあげる方法はどうかな??なんていうアイデア。

でもこれって実際にキャッシュをあげるのは難しい業務です。基本的には現場のスタッフが対応する業務ですからスタッフの教育から入らないといけません。そのうえでなんとか取り組んだところで顧問料に跳ね上がるのはその先で、下手すると顧問料に含めてやって欲しいと言われる可能性が高い仕事です。

確かにコロナショックのあとは経営改善計画などの経営再建の需要が増えると思います。でも下手をすると残務処理というか敗戦処理的な仕事を安く請け負うことになる覚悟も必要になります。

手続き業務に繋げる提案を推進

これに対して考えたのがあくまも手続き業務に繋げるためのコンサル業務です。

今までの業務に付加する形のコンサル業務はタダ働きになる覚悟でやるにして、別の方法も考えたほうがよさそうです。

それが手続き業務に繋げるための前さばきとしてのコンサル業務です。

例えば資産税でいえば、相続税の申告を受注する前の前さばきの支援。法定相続情報一覧図の作成や財産目録の作成、手続きのアドバイスなどコーディネーター的に動いたり、提案するような仕事は手続き業務に繋げることでキャッシュを生み出せます。

また、相続対策の提案なども単に提案するのではなく、実行支援につながるような提案であったり、連携先の他士業に繋げるような提案をするのがいいと思います。「送客」という言葉が最近は気に入っているのですが、お客様を提携先に送ったり、もらったりする関係性をつくることも大切な営業チャネルになります。

もちろん、内製化できる業務と外注でできる仕事があり、川上をうまく押さえることができれば多くのメリットがあります。

つまり、士業が提案型として目指すべきなのは、いわゆる問題解決型のコンサル業務ではなく、前さばき業務であったりコーディネート的な提案業務ではないでしょうか。

 

マンガ&図解でズバリ! わかる 相続対策

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会計事務所で長く実務をやっているほど実力をつけるには基礎固めが大事

コロナ騒ぎでなかなか資格とか学びへのモチベーションが維持できないところではあります。

そんな中でもアウトプットしていかないとさらにモチベーションがさがってくるので、ブログにアウトプットしながらインプットへのモチベーションも頑張っていこうかな、、と思っているところです。

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実践だけではなく、基礎が大事

そこで考えるのが、さてさて何をやりますかな・・・というもの。

今までは資格を中心にとりとめもなく書いていましたが、今後は多少実務的なことも書いていこうかと思っています。

仕事の専門性もさらに高めていこうと思っていますが、実務的な情報発信もメインでやっていく予定です。

とはいえ、ブログを書くことがストレスになってしまうので、気分がのったときしかかきませんけど。

最近思うのがこんな時期こそ基礎固めが大事だということ。

士業でも長く実務をやっていると実務以外で学び直すということはなかなかないと思います。

実務は基本的にいうとアウトプットそのもので、長く実務をやっているほどインプットをおろそかになりがちになります。

永遠の3年生にならないように

僕は永遠の3年生と呼んでいるのですが、3年くらいで会計事務所の仕事はなんとなくわかってくると思います。

なんとなく一人前になった勘違いが起きるのが3年目くらいで、実はそこから伸びるスタッフと成長が止まるスタッフに分かれると思います。

どんなスポーツでも実践練習だけなく、基本練習の繰り返しが強くなるコツだと思います。これって士業の仕事でも同じ。

所得税や法人税の申告書をシステムを使って作成しているだけでは本当の実力はなかなかつきません。基本の税法や会計、法律知識をつけないとベースラインがあがってこないのです。

専門知識やスキルだけはなく、実際にはビジネススキルも大事です。

営業的なスキル、ITの知識やスキルも実は大事。

学ぶことはたくさんあるし、基礎ができたらどんどん応用して行くことも大事。

永遠の3年生にならないようにするには、実践と基礎をバランスよく学んでいくことが必要だと思ってやってきています。

オンライン面談とオンラインセミナー

そういえば先日受講したオンラインセミナーではオンライン面談とオンラインセミナーに関するものでした。

やはり旬のネタだったせいか50人くらい参加していたようです。

Zoomを使っていましたが、特に音声や映像が不安定になることもなく、受講できたように思います。

我々士業の仕事は基本的には相談からの手続きという流れの仕事がメインになります。そのため相談から入らないと実務につながらないのが現実です。

面談もオンラインでできるようになれば仕事にもつながります。

それでも相続など高齢者をメインターゲットにするような仕事ではなかなか厳しい。

単純にオンライン面談を取り入れるだけではなく、オフラインにオンラインを組み入れる方法もありかなと思っています。

まあ、オンライン面談とオンライン面談は好むと好まないに限らず受け入れざるとえないかな、、という時代です。

世界は元に戻らないから会計事務所も戦い方を変えて生き抜くフェーズへ

ゴールデンウィーク明けの金曜日、緊急事態宣言は延長されましたが何となくアフターコロナとかウィズコロナに向けて経済の再建に向かって動きはじめたような気がしています。

自分だけかもしれませんが、何となく先月までの状況と変わって前に向き始めた・・といった感じ。

そうはいっても何をやればいい?どこから始める??と、何となく考えています。

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足元の優先業務は顧問先の資金繰り支援

動き始めた、、、とはいえ、税理士業界的には現時点では顧問先企業の資金繰り支援が最優先での取り組みになります。

持続化給付金やセーフティネット貸付など、政府の資金繰り支援を受けながら必死で耐えなく中小企業を支えるというのが目下の業務になります。

でも、そのあとはどうなる??というのイメージはどうでしょうか?

中小企業の廃業や規模の縮小は不可避だと思います。

当然のことながら税理士や会計事務所の顧客は廃業等で減り、顧問料の値下げ要求なども待っています。

頑張って中小企業を支援した結果として我々も無傷ではいられないというのが自分の予想です。

終息しても元の世界は戻らない!

じゃあどうする?というのが次のテーマ。

資金繰り支援に全力で振り切ってその先は事務所経営が大丈夫なのか、という話です。

いやいや、全力で振り切るのはかなりリスキーではないでしょうか。

その次のステージの戦い方を想定した準備に何割かの陣容と経営資源をさく必要がどうしてもあります。

コロナウイルスが終息しても、平和だったあの頃と同じ世界はもう戻らないのです。

だから、足元でやるべき業務をやりながら、次の一手を打つ・・これが大事。

何から始める?

とりあえず何から始めるか・・・。

当社の業務は大きくは事業会社や医療介護系のお客様と地主層、相続税などの資産税のお客様の2系統あります。

今回のコロナショックで影響を受けるのは事業会社のお客様が中心です。

そのため足元では事業会社のお客様の資金繰り支援をしながら、水面下で資産税の軸を強化するという方針をとります。

強化を始めても結果として成果につながるのは数か月後になるでしょう。

その頃には資金繰り支援もひと段落しているでしょうが、コロナショックの影響が事務所経営を直撃し始めると思います。

そのときに出すカードの準備をしておきたいというのがもう一つの今やるべきこと。

とりあえず今日はHPの文字を大きくしたり、画像を差し替えたり、といった地味な更新作業をしておきました。

事業ポートフォリオを見直そう!

士業の先生たちでもこれからどうやって事務所経営をしていこうかと悩んでいる方は多いと思います。

弁護士の先生もWEB会議やオンライン相談などを始めようかと考えていたり、アクリルの卓上パーティションを設置して相談対応を再開したり、、という話もしていました。

コロナの状況下でも相談応対できる仕組みを考えるとともに、この機会に検討したいのは事業ポートフォリオの見直しです。

顧客層や業務内容を分類して、コロナの影響で需要が減る業務と増える業務の判断をし、どの分野を強化すべきか、どの分野から撤退すべきか縮小すべきか、、ということの検討が大事ではないかと思います。

うちの事務所の場合は事業会社は影響が大きい業務なので守りの姿勢になります。積極的にうってでる、、という時期ではありません。

一方で資産税や相続税などは影響が少ない分野です。亡くなる人が急に減るわけではないし、相続税が急になくなるわけでもない。

競争は多少激しくなりますが、需要じたいはある分野です。だからここは多少テコ入れしていくべき、、と考えます。

色々な事務所のスタイルがあると思いますが、うちの事務所のポートフォリオ的にはこの分野を強化するべき時期。

アフターコロナに向けた種をまく

こんな状況でもできること、やれることはいくらでもあるように思います。経営を諦めたり、周りの雰囲気に流されて思考停止になってはいけないと思っています。

まずは現状を冷静に分析して、足元でやるべき業務を粛々とこなし、さらにアフターコロナに向けた準備、、にとりかかりましょう。

緊急事態宣言をうけて4月はシフト勤務と在宅勤務の環境整備をしていました

4月がやっと終了して5月がスタートします。

コロナウイルス感染症に振り回された1か月だったと思いますが、5月はどうなることやらです。

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さて、4月は事務所で何をやっていたかというと、前半までは事務所内のシフト勤務やスタッフの在宅勤務の環境を整えるような仕事が中心でした。後半になってやっと自分の仕事ができるようになってきました、、というところです。

会計事務所なので基本的にはテレワークや在宅勤務には向いていない業種だと思います。事務所の中ではできるできないの前に保守的な風土のために二の足を踏むところも多いと思います。

税理士一人の事務所であればもちろん常に在宅なのでしょうが、スタッフに在宅勤務をさせるということに抵抗感を持つ所長は多いのではないでしょうか。

中小企業はなかなか在宅勤務が進んでいない、、というのは現実的に真実だと思います。士業事務所も中小企業ですから現場レベルで難しい、、と感じています。

そんな中でもスタッフの健康を守るのも大事なことだし、不安や恐怖からメンタル面のケアをするのも大切です。

そんなことで在宅勤務を組み合わせたシフト勤務の準備や段取りに結構な時間と神経をつかった、、というところです。

設備投資も結構したのですが、他の事務所はどうしているんだろう??ということもあると思うので簡単に紹介してみます。

外出先などから事務所のサーバーや会計システムにアクセスできる端末を追加で購入しました。その他に行ったものはこんな感じです。

ドキュワークスで事務所内をペーパーレス化

1年くらい前から事務所内の電子ファイリングをドキュワークスに変更していました。

まだまだ完全にできているわけではないですが、早めにドキュワークスに切り替えていたことが実は在宅勤務にもいきていました。

既にサーバーはクラウド化していましたから 、ドキュワークスと組み合わせることでテレワークの下準備はできていたことになります。

これをやっていなかったら今回は結構大変だったかもしれません。

 

在宅でもデュアルディスプレイで作業できるように・・

例えば、家にPC用のモニターがない人向けにモバイルモニターを買ってみました。 

事務所内では電子ファイリングでペーパーレス化を進めていますが、在宅でモニターがないと紙で打ち出す必要があります。

紙で印刷して自宅に持ちかえらせることを原則禁止としているため、モニーターは重要です。

WEB会議をはじめました

WEB会議用にスピーカーフォンも購入しました。

マイクとスピーカーが一体になっているものですが、エコーキャンセルなどの機能もついています。

実際にはノートパソコンだけでも大丈夫なのですが、音にこだわる場合には是非お勧めです。

 WEBカメラも注文しましたが、、まだ到着しません。 

GW明けの到着予定ですが、本当に来るかどうか・・・

ビジネス用のノートPCではカメラがオプションになっているものも多いようで、事務所内でも数台はカメラがついていないタイプでした。

そのため何台か発注したのですが、、やっぱり品薄です。

サンワサプライ FULL HD Webカメラ ブラック CMS-V37BK

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  • 発売日: 2012/06/01
  • メディア: Personal Computers
 

事務所内のWi-Fi環境の整備 

社内無線LANの届く範囲を拡大させようと中継機なども追加しました。 

普段は作業で使っていない会議室や休憩室なども作業場所として利用するため、社内のWi-Fiやインフラ面の整備が必要になりました。

平時から準備をしておけば災害や緊急時に便利に使えるのに、実際はなかなか・・・

医療法人の設立・運営・出口戦略の研修を受講しました

先日、TKC全国会「医業・会計システム研修会」の研修に参加してきました。

今回受講した研修は医療法人の設立から運営、出口戦略までを総花的に解説されたもので、その分急ぎ足での説明でしたが充実していました。

最近、我々のお客様でも医療法人の設立だけではなく、承継や売却、移転、廃業などの相談を受けることが増えているように思います。

今週も診療所をいったん移転して仮診療所を置き、元の場所を建て替えて戻りたいというお客様もいました。

 

医師一人での医療法人が認められて医療法人化がどんどん増加し、当初は出資持分ありの医療法人が認められていたのが、新規設立が持ち分なし医療法人のみとなって今にいたっています。

一人医師医療法人の設立が認められて医療法人にしたお客様が、そろそろ次の段階に入っているというのが実務的な印象です。

でもこれって税理士の仕事というよりも実は行政書士の仕事という気がします。我々のグループでも行政書士法人で法人設立を承っています。

 

今回受講した研修は2部構成で、前半が「医療法人の設立・運営とM&Aについて」で、後半が「医療法人解散・医療機関の廃院時、承継時の留意点について」でした。

医療法人の管轄は原則は都道府県単位になっているため、微妙な指導の基準が自治体によって異なるようです。横浜市は政令指定都市なので横浜市が管轄ですが、藤沢や大和のお客様は神奈川県の管轄になっています。横浜と神奈川県も微妙に違ったりもして。

医療法人については、運営についてもルールがあり、大部分を占める社団法人の場合には社員総会や理事会などが運営の中心になります。

また、最近では出口戦略が重要になってきています。

親族に後継者がいればどのように承継するかが問題になります。後継者がいればいいというわけではなく、出資持分ありのケースで多額の内部留保がある場合にはどうやって出資持分を移転するのか、贈与や贈与が可能なのかどうかという論点もあります。

後継者がいる場合にはさらに混沌とします。診療所を廃院して法人も解散するというケースや知り合いや後輩の医師に法人の器ごと診療所を引き継いでもらう方法、第三者にM&Aで売却するという選択肢もあるでしょう。

最近はサラリーマンでも会社が買えます、なんて個人M&Aが話題になることもありますが、医療法人のM&Aも一般的になりつつあります。

こういった相談を顧問先のドクターからうけたときにどうするのか?というのが今回の研修の内容でした。

さすがに手続きが多くでてきたので、一度読んだだけではなかなか消化が難しいテーマではあったので、時間があるときにもう一度レジュメを読み直したりしたいと思っています。

 

改訂版 医療法人の設立・運営・承継・解散

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院長先生の相続・事業承継・M&A 決定版[第2版]

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医療法人の設立認可申請ハンドブック

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  • 作者: 西岡秀樹,岸部宏一,藤沼隆志,佐藤千咲,医業経営研鑽会
  • 出版社/メーカー: 日本法令
  • 発売日: 2017/09/11
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顧客からグループ経営の相談を受けたらどうする?

税理士事務所の顧問先が大小いろいろです

街の帳簿屋でもある税理士事務所の顧問先は規模のレベル差が本当に激しいものがあります。午前中に家族で商店を数十年経営している老夫婦と打ち合わせをしていたと思うと、午後はインテリジェンスビルの高層階で上場企業の社長と面談している、、なんてこともあると思います。

どちらの仕事がやりがいがあるかと言われると実は答えにくい問題ではあります。規模が大きくて誰しもが名前を知っている会社に関わりたいとも思う反面で、地元の中小企業を支えるのが税理士の使命だと思う部分もあって選ぶのはなかなか難しい。

できれば事務所内で役割分担を決めて取り組めばいいのですが、それもなかなか。最近は資産税と医業、大規模法人の仕事を並行してやっていますが、本当はどちらかに絞りたいし、正直しんどい話です。

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最近取得した資格のシニアPBもそうですが、資産税の領域では設定している顧客層が上場企業オーナーだったりするので、資産税も企業税務や法務についてもそれなりの知識が必要となっていきます。

顧問先からグループ経営の相談を受けたらどうしよう・・なんていうのも実はプライベートバンカー的な業務で、メガバンクや証券会社のPB事業部や最近ではウエルスマネジメント室なんかとの競合になりつつあります。

最近の地方都市の税理士法人は金融機関との競合を意識して戦わないといけない時代なのです。

そうはいっても金融機関もそれほど高いノウハウはなく、実際には東京の大手税理士法人に丸投げしているのかもしれませんけどね。

地方都市の優良顧客をがっちり抑えるためにはM&Aやグループ経営のノウハウも重要

税理士法人に限らず、信金や地銀などの地域金融機関についても同じことがいえるのかもしれませんが、地方の優良顧客を抱え込むためにはプライベートバンカーの知識やスキルが必須といえると思います。

日本証券アナリスト協会のPB資格に挑戦するのが一番ですが、「プライベートバンキングの基本技術」という清文社の本はPB資格保有者に必要な知識がまとまっていたと思います。ただし、税制など制度が変わっている部分もありますから自分の中で更新をかけないといけないけど。 

富裕層マーケットで勝つための新たな営業手法 プライベートバンキングの基本技術

富裕層マーケットで勝つための新たな営業手法 プライベートバンキングの基本技術

 

我々のような地域の中堅税理士法人の顧客層の中ではこういった規模のお客様は1件、2件あるかどうかというところだと思います。だからなかなかノウハウが付かない部分です。もう少し複数関わるときちんとしたノウハウになるのかもしれませんが、毎月の通常業務の合間に対応するので結構大変です。

オーナー系企業だけでなく、監査法人が入っている規模の会社の税務申告に関わるのは件数の割に知識のブラッシュアップが必要なコスパの悪い業務だと思います。

逆にメガバンク系のウエルスマネジメント部門やそこの抱えている税理士法人はそこに注力しているからそれなりに事例を抱えていると思うので、その時点でアドバンテイジをとられているように感じます。

我々が所属している団体、中堅・大企業支援研究会ではTKC会員のノウハウを結集して日々精進していますが、そうはいってもそればっかりやっているわけでないのでね。

www.tkc.jp

グループ法人経営を学ぶならこの2冊

そういうことで、自分で情報収集と勉強をしていかないといけないのですが、最近購入した本がこの2冊です。

 「グループ経営をはじめよう」は、記事執筆現在で第4版まででています。あがたグローバル税理士法人はTKCの会員向け研修でも講師をしているので、TKCシステムを利用しているのかもしれません。

本の内容は初心者や実務家にとっつきやすいわかりやすいと思います。グループ経営を考え始めるとことから、運営、海外展開、子会社売却といった出口戦略まで網羅されています。

簿記や会計の知識がないと厳しい実務的な部分もありますが、最初は専門的な部分は読み飛ばして読み物的に読んでみても内容が頭にはいってくると思いました。 

特に経営者にとっては実務的な部分よりも、メリットやデメリットなどの意思決定に関する部分が重要だと思います。

この本ではそのあたりのことも書いていました。

グループ経営をはじめよう【第4版】

グループ経営をはじめよう【第4版】

  • 作者: あがたグローバル税理士法人,アヴァンセコンサルティング
  • 出版社/メーカー: 税務経理協会
  • 発売日: 2018/11/01
  • メディア: 単行本
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 次の書籍は持株会社の実務という本です。第8版まで来ているので、さすがに洗練されていて読みやすいと思います。学術的、実務的な本になっていますが、図解も多くてわかりやすいと思いました。実際に持株会社のプロジェクトが動きだしたら座右に置きたい本です。 

持株会社の実務(第8版)

持株会社の実務(第8版)

 

 

サラリーマンが小さな会社を買収する個人M&Aの時代に税理士がすべきこと

先日、テレビ欄をみていると、クローズアップ現代+でサラリーマンが会社を買う個人M&Aというテーマの放送というのを発見しました。

さっそく録画設定をしたのですが、何か理由で放送が差し代わっていて実際には少し後の放送となっていました。結果的に放送されたのは6/29の回だったようです。

 

www.nhk.or.jp

 

週末を使ってバーチャルとリアルな旅にでていたのですっかり更新が滞っておりましたが、元気でしたか??私は素敵な田舎にトリップしておりました。

以前書店でベストセラーになっていたこの本も読んではいたのですが、放送では作者の方も出演していたとは気が付かずに、後で読み返したときについでに著者名で検索をして、あ~~でてはこの人・・・と気が付きました。 

サラリーマンでも会社が買えるのか?

放送後に番組内で紹介されていたマッチングサイトを見てみたのですが、確かに300万円程度で売りにだされている会社が結構でてきます。

ただ個々の会社の情報量は少ないので、実際には問い合わせをしてから情報収集が可能ということでしょうか?飲食店などは多少はネットで推測できるところなどもあるのですが、推測の域はでません。

売買手数料は成約価格の3%ですから不動産を購入するのと同じような感覚でしょうか。 

www.tranbi.com

会社を購入して経営するのですからリスクは考えないといけませんよね。

会計数値に粉飾があるのかもしれないし、税金や社会保険料などの滞納があるかもしれない。

未払い残業代や簿外の債務があるのかもしれません。

リスクについてはなんからの準備が必要ですよね。

借金は返済しておいてもらうのか、後発的な事象となる隠れ債務は契約書で保証をとっておくのか?

その辺の信頼関係が成り立たないような相手からは正直買わないほうがいいのかもしれませんけどね。

不動産M&Aも可能だが・・・

不動産所有法人も掲載されていましたが、数億円の借金付きの会社もありました。

これなんて不動産の時価を算定しないと実質債務超過なのかどうかもわかりませんから、実物の不動産を購入するのと変わらない印象があります。金融機関で債務者(おそらく保証人)変更の承認がおりないと会社の売買ができないようなのでハードルも高そうです。

ただ、含み益をもっているような会社の場合には現物を売買するよりも会社ごと買った方が税務メリットが高いこともあります。

売る側にとっては譲渡益課税が発生しませんし、不動産取得税や登録免許税などのいわゆる流通税についても節税が可能です。

この辺のことは以前、タクトコンサルティングの本郷先生の著書で読んで、なるほどねって思った覚えがあります。

 

不動産M&A入門 (図解不動産業)

不動産M&A入門 (図解不動産業)

  • 作者: 本郷尚,藤井龍二
  • 出版社/メーカー: 住宅新報社
  • 発売日: 2008/02/01
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ゼロイチ起業よりも本当にメリットが高いのか?

サラリーマンは300万円で、、の中でゼロイチ起業のデメリットが紹介されています。確かにゼロから立ち上げるのとある程度のところで買収するのとでは倒産リスクは異なると思います。

 

 

起業は多産多死が基本です。自分が立ち上げた会社に限って、、と思うかもしれませんが、そういうものだと思います。

一方で300万円で買った会社がすでに軌道に乗っているのかというとそうではないように思います。

中小企業、特に零細な会社ほど社長のノウハウや人間性など、社長個人とイコールでなりたっています。クローズアップ現代でも失敗例として紹介されていましたが、営業経験のない人が営業力で仕事をするような会社を買ったとしてもゼロから立ち上げる以上の苦労があると思います。

逆にゼロからの起業であったとしても、経験やノウハウがあって人脈も既にできている業界や地域で起業であればスタートアップのリスクはそれほど高くないと思います。

今回のこの企画や書籍では、大企業のマネジメント経験のある管理職が会社を買って、そのマネジメントスキルと中小企業で生かせればいいのではないか、という趣旨のように思いました。人生100年時代ですから、60代を中小企業で活躍してもらえば活性化もされるはずです。

でもこの経験が生かせるのは300万円で買える会社でしょうか??

大企業のマネジメントが生かせるのは家族以外の社員が複数人いる会社で、買収価格はそれなりになるはずです。

家族経営の零細企業では大企業のノウハウはまず使えません。小規模な会社を経営するには大企業でのサラリーマンではないマインドセットが必要だし、腹をくくって、スモールビジネスを成功させるという覚悟を決める必要があると思います。

社長の専門スキルで成り立つ会社を買う場合は?

中小企業と一括りで言ってしまいがちですが、規模や業種もいろいろあると思います。

長の専門的な能力で仕事をしている会社で、そのノウハウで数千万の利益をもたらしているのであれば社長が引退してしまうとその会社の価値はゼロになってしまうかもしれません。

できれば丁稚奉公的にノウハウやスキルを承継してから引退してもらいたいものです。もしくは後継者となる人が同程度のスキルを事前に保持しているという前提でないと成り立たないように思います。

我々の会計事務所、税理士事務所の業界でも最近は後継者不足でM&A的なことも盛んになってきているようです。

後継者として資格を持っている親族や職員がいないと所長先生に何かがあると困るし、税理士が二人以上いないと税理士法人にもなれないので、まずは税理士法人として形を作って承継しつつ引退していくというのが高齢所長の考えそうなところです。

そうではなく買収というのもあると思います。支店として足場が欲しいような事務所にとってはいいと思います。地方の有力な税理士法人で東京に足場が欲しいようなところなんかは買ってくれるかもしれませんね。

我々の業界のように個人のスキルや資格で商売をしているような業種や業態であれば、後継者のスキルが買収や事業承継後の大きな課題になってしまいます。安く買えたとしても相当の覚悟と自信がないと難しいし、それならゼロから立ち上げたほうがよくない??と思ってしまいます。

税理士がちゃんと見なかった・・・?

基本的には中小企業には管理体制が整っていないから、大企業出身者のマネジメントスキルが有効、というのが書籍に書かれています。

ある意味正解だし、説明不足のところもあると思います。中小企業の業界で仕事をしていると、管理やマネジメントよりも現場力が高い社長が多いことに気が付くと思います。

一人会社や家族経営であれば、管理やマネジメントをすっとばしても、社長の現場力でなんとかなるのです。

キングダムでも、伍長レベルであればマネジメントは不要でしょうが、100人将になるころには副将となる参謀役が必要だったり、さらに規模が大きくなると軍師が必要となっていきます。

 

キングダム 最強のチームと自分をつくる (神ビジ)

キングダム 最強のチームと自分をつくる (神ビジ)

 
『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ

『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ

 

 

我々税理士のやりたい仕事って中小企業にとってのCFOであり、参謀や軍師なんだよねっていつも思うのですが、実際にはそれすら必要でないレベルで回っている中小企業がほとんどなのです。僕も三国志の諸葛孔明のような軍師に憧れたもんさ(-_-)

そうはいっても書籍に書かれているように、何かというと会計事務所に確認しないと数字や決算書が読めない社長がいるというのは確かですし、経理担当の奥様ですら会計事務所に言われるとおりに入力するだけでその先の決算書とか管理会計やらはさっぱり、、というところがほとんどです。

それが税理士のせいと言われればそうですけどね。

この話を逆説的に読むとこうなる??

それでこの本を読んだ話って逆だよね・・というのが僕の感想というか意見です。

これはあくまでも税理士的、会計事務所的な発想の「解」ですが、大企業でマネジメントを学んだ人が中小企業を買うというのも大事だけど、今の中小企業の経営者にもマネジメントや経営管理を学んでもらったり、我々がお手伝いをするほうが先なのではないか?という話です。

そんな黒船的に大企業の論理がまかり通るわけでもないのが地方の中小企業ですから、その地域で生まれ育った後継者にきちんとバトンタッチができるようなマネジメント体制を中小企業が整えていく支援をしていくのが税理士の使命でしょって思いました。

 

 

 

映画「何者」【感想】自分が何者であるか知るためではなく、いつか何者かになるために働く

今週は連休だったので読書をしたり、勉強したり、動画を見たりしてのんびりと過ごしていました。思えば昨日と今日は1歩も外にでていない・・・

Amazonで視聴したのですが、今週観たのはこの2本。 

リメンバーミーはディズニーピクサーのアニメで、週末100円レンタルになっていたのでせっかくだからと観てみました。音楽と家族の絆を描いた作品で、ディズニー映画っぽい勧善懲悪な感じで子供にもわかりやすいと思います。

何者

何者

 

 

 

佐藤健主演の「何者」は就活でもがく若者をSNSという今っぽい切り口で描いたもので、働くということを再確認できる作品なのかな?と思いました。出演も今をときめく人気実力ともにトップクラスの俳優さんたちですし、CMもガンガン流れていたのでちょっと興味を持っていました。ちょっと重い感じなのでメンタル的にキツイときはあまり気がのらなかったのですが、プライムビデオでみれたので。

就職って今は売り手市場だと思っていたのですが、最近の就活も僕らの頃の就職氷河期とあまり変わりないのかな?とも思ったりもして。学生から大人への階段を上る時期ですから様々な葛藤や不安、悩みもつきないと思います。

就職というか働くということを考えると、自分が何者であるのか?という自問自答に大学生のその頃は答えられなくてもがき苦しんでいたようにも思います。でも基本的には大学までの22~23年では何者ですらないのかもしれません。自分が何者であるのかなんて疑問の答えはそもそもなかったのかな?

作品中で、「就職活動ってダウトみたいなものでしょ・・・」という主人公のセリフがあります。トランプのダウトのルールなんて思いだすことはなかったのですが、1から順番に手札を裏返しにして出しながら嘘だとばれるかばれないかのゲームだったと思います。自己アピールというのが自分は一番苦手だったのですが、就活って本当の自分よりも大きく見せるゲームだよね、、という意味なのかもしれない。バレたらアウト、バレなきゃちょっとくらい盛った感じでもセーフ。

僕はあまのじゃくなので、自己アピールとか言われると未だに拒否反応です。別にお前に値踏みされる筋合いはないし、言葉で語れるほどお気楽に生きていたわけではないから知りたければ自分で勝手に判断しろ!って思ってしまいます。こういう性格だから普通に就職して会社勤めができなかったのかもしれませんが・・。

就職活動で必ず行うのが自己分析なのでしょう、自己分析しても足りないものばかりで自信を失うだけだからあまり自己分析も好きではないのですが、「自分が何者であるのか知るため」に自己分析をしても意味がないようにも思います。

自己分析は「なりたい何かを目指すため」に、客観的に振り返るために行うべきではないかという気持ちがあります。就職活動で自己分析をしても大人目線ではおそらく10段階でほぼオール1だと思います。協調性があるとか言ってもせいぜい2~3。これをどうすれば10に近づけられるかが重要であって、2とか3程度の差でどの仕事が向いているかどうかなんてわからない。

何が言いたいかというと、分析が大事なのではなく、目標に向かって取り組むことが大事なのだと思います。何をやりたいのか、どうすればそこにたどり着けるのか、今何から手をつければいいのか、自分には何が不足していてそれを補うために何をすればいいのか、自分が苦手な分野であれば協力者は見つかるのか・・・

今どうかなんて関係ない、明日の自分がどうなっていたいのかが大事だと思うし、未来志向で生きていたい。

作品中では、演劇サークルで頑張っていてそれで食っていこうという親友との葛藤もテーマになっています。ただ、演劇で食っていくのもビジネスの世界で食っていくのも本質的にはあまり変わらないように思います。周りの環境や会社のせいにして生きていくのか、それとも自分の頭で考えて自分で判断して自分のスキルや能力で食っていくのか、その違いではないでしょうか。会社や組織に属してもプロ意識をもって仕事をすることと、演劇や音楽などの分野で仕事をするのとは分野が違うだけで実際には変わらないのではないかな・・・という感じがしました。

自分が何者であるのかを大学生の段階で思い知ってそんな自分像に未来をすり合わせて妥協して生きるのか、まだまだスタートラインだから理想の自分像を目指していつか何者かになるために必死に努力して生きるのか・・・自分は後者の生き方のほうが好きかなと思います。他人に決められたレールを走るよりもセルフプロデュースで人生をマネジメントしたほうがいい。

たまたま観た映画でしたが、そんな感じに考えさせられるような内容でした。機会があれば原作の小説も読んでみようかなと思います。

この作品の中で自分は岡田将生くんのタイプだったかな・・と思いました。恰好つけているだけで現実から逃げているタイプ。失敗してもいいんだから恰好つけて御託並べる前にまず泥臭く動けよ、、って外から自分をみて思うのだけど、、って感じ。

何者 (新潮文庫)

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