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プライベートバンカー・ウエルスマネジメント・ファミリーオフィス・エステートプランニング・資産税の専門家を目指す税理士のブログ-TaxAccounting&Financial Planning

競売後、敷金の返還義務は引き継ぐの?

宅地建物取引主任者の法定講習に行ってきました。

5年に1回の法定研修ですが、2回目だからちょうど10年です。

ついこないだ登録したばかりのような気がしますが、早くも10年選手です(業務はやってないけど)。

その法定研修で一つ気になる話がありました

内容は、抵当権が実行されたり、競売で落とされた場合に敷金返還義務は引き継がれるかどうか…?

現行法では、原則は引き継がれないということでした。

宅建試験の受験をしていた頃はまだ短期賃借人の保護制度というものがありました。

抵当権が実行されたときに、短期賃借人であったものはその期間内は賃借人としての地位は継続するというものでした。

賃借人としての地位が継続するため、競売後であってもなかなか追い出せません。立ち退き料が必要になるかもしれないし、敷金や保証金の返還義務も引き継がれてしまいます。

そのために、こういった制度を悪用するような人たちも現れたのです。

これが平成16年4月1日から廃止されました。

この廃止によって原則は保護されずに、対抗要件の先後で判断されるという民法の原則が適用されることになります。

抵当権が設定されたのと、賃貸借契約を契約したのとどちらが先かによってどちらの権利が強いかが決まるのです。

ただ普通は建物を建てたときに借り入れをして抵当権をつけますから、抵当権がまず先になります。

ということは、基本的には抵当権のほうが権利が強いということになります。

結果的に、抵当権が実行された場合には競売人等に敷金返還請求をすることはできないことになります。

そのため、飲食店等のテナントで100万円の保証金を借りて、500万円の内装費用をかけて開店したとしても、競売にかかって落とされたら、ある日突然新しいオーナーに退去を命じられる可能性があるということです。

建物の売買による通常のオーナーチェンジの場合、敷金や保証金は新しいオーナーが返還義務を引き継ぎますし、ある日突然退去しろとはいえません。

これが、改正によって可能となっていたのです。

一方、古い契約で平成16年3月よりも前に契約をしていた場合はその後更新をしていたとしても旧法の短期賃借人の保護制度が経過措置として継続するとのことでした。

当社のお客様は貸す側の方が多いのですが、借りる側にとっては重大です。

せっかく脱サラして店舗をオープンしたとしても、入居したテナントが競売にかかったらいきなり追い出されて、敷金等の返金もないのですからたまりません。

前回の法定講習でも思ったことですが、重要事項の説明などで不備があれば損害賠償請求の可能性もあります。

数万円の手数料で数百万円の損害賠償を受けることもあるのです。

試験に合格しただけの実務の素人が下手に手を出すのは危険です。

法律を扱う仕事は、ひとつ間違うと専門家責任を問われるのです。

税務、会計まずはこの分野を軸に少しずつできる範囲を広げる、できる仕事の中で質をあげる…これが一番大事なのだと思います。

 

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