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資産所得倍増計画で改善が必要な積立NISAの問題点と改善提案

岸田総理がインベストインキシダ発言をして、どうなんだろうと思っていましたが、資産所得倍増計画の全体像が見え始めてきました。

新しい資本主義で資産所得倍増を実現?

新しい資本主義実現会議のHP(内閣官房)で、過去の会議資料を閲覧が可能です。

www.cas.go.jp

資料によると資産所得倍増プランの核になるのは、NISA制度の拡充、iDeCoの年齢引き上げ、金融リテラシーの向上といったところです。

特に真新しいところはありません。

正直、新しい資本主義という言葉の意味もよくわかりません。

成長と分配のバランスで、成長を目指した行き過ぎた資本主義のひずみともいえる格差をなくすことを目標にしていたような気もしますが・・・

資産所得倍増プランなんて無責任なタイトルで、資産を持っている人を優遇するような施策はかえって格差を増長するようにも思います。

ただ、NISAやiDeCoといった私的年金を拡充する施策は個人的には賛成です。

一般の人にすそ野を広げて、資産格差をなくす意味では、一般NISAよりも積立NISAを拡充させて、老後の心配を減らすような施策が重要だと思います。

今の年金制度は、自営業者やフリーランスよりもサラリーマンや公務員にとって有利なものになっていますから、個人で準備する私的年金の制度拡充は必須です。

年末をめどに資産所得倍増プランを策定するということですから、どんな制度になっているのやら、、と思います。

単純に非課税枠を増やすだけなのか、本当に抜本的な制度改定が行われるのか・・

最近は、若者たちの中でFIREしたいとか、投資で一気に資産を増やしたいという雰囲気もあり、持続化給付金詐欺などに巻き込まれる原因になっているようにも感じます。

楽して資産を増やしたいとか、手っ取り早く経済的自由を手に入れたいと願うよりも、長期・分散・積立で手堅く資産を増やすということに希望が持てる社会になってほしいですね。

積立NISAの改正で希望すること

もしも積立NISAをどう改正するのがいいのか、というのを書きたいと思います。

金額40万円は少ないし、12ヶ月で割り切れるようにしてほしい

現状は金額40万円で最大800万円です。正直少ないですよね。

足りない老後資金は2000万円でしたから、全然足りません。

iDeCo、積立NISAを使って40歳から20年で2000万円を準備するためには、年間100万円の積立が必要です。

iDeCoは23,000円、積立NISAで33,333円を月額積立たとしても年間約67万円ですからもうちょっとほしいところです。

12か月で割り切れるところで、最低でも年間60万円、できれば年間72万円の枠でお願いしたいです。

iDeCoで23,000円、積立NISAで6万円なら年間で約100万円の積み立てができます。

非課税期間が20年というのは短いため、長期化するか無期限化してほしい

非課税期間20年というのもよくわからない年数です。40歳の人が60歳まで積み立てる前提なのでしょうか?

できれば若いうちから長期、分散、積立の投資をやってほしいと思いますから、20歳から60歳までの40年の運用を前提に期間を決めるのか、できれば無期限化してほしいと思います。

老後に資金が必要になったら取り崩せばいいわけですし、引退年齢が多様化していくわけですから、期限を決めないほうがいいのではないでしょうか?

引退年齢を引き上げたいとか、引退時期を柔軟化するといいながら、制度が追い付いていないように感じます。

iDeCoのようなスイッチングの制度にしてほしい

積立NISAでは投資資産は対象商品の範囲内ですが自由に選択が可能です。

ただし、今後積み立てる資金で買う分には自由なのであって、すでに積立済の資産を変更する場合には売却して、別の非課税枠を使って買い直す必要があります。

過去に使った枠では、投資対象を自由に入れ替えられない制度になっています。

iDeCoでは途中で換金することはできませんが、非課税口座内で自由にスイッチが可能です。

つまり、積立NISAでフルで投資している場合にはリバランスができないことになっています。

積立NISA以外にも運用している資産があれば、課税口座のほうを売り買いしてバランス調整をする必要があるということです。

リバランスしやすいような制度設計ができればいいな、、という感じですね。

配偶者に相続しても非課税での運用が続くようにしてほしい

自分が死んで妻が積立NISAの資産を引き継ぐ場合、妻が証券口座を開設して、妻の課税口座に移管されることになります。

つまり、自分が死んだら20年経過する前に非課税は終了して、非課税枠も消滅することになります。

本場のイギリスの制度にはあるようですが、夫の非課税枠を承継して、非課税のままで残りの期間を妻の口座で運用できるようにできれば、いいんじゃない?という話です。

老後に資金が必要なのは本人だけでなく妻も一緒です。夫の非課税口座をそのまま引き継ぐことができればちょっとは安心ですよね。

18歳という年齢制限を外してほしい

令和5年でジュニアNISAが廃止されます。その代わりとして、18歳という年齢制限を外して、贈与した資産で非課税運用できるようにするのはどうでしょうか?

富裕層としては単に贈与しても消費されるだけでは嫌なので、将来のために運用して何かのために使ってほしいというニーズもあります。

暦年贈与課税の改正の動きもありますが、富裕層の暦年贈与の受け皿として積立NISAを活用できる方向性もいいと思います。

制度の恒久化をしてほしい

NISA制度は所得税法の制度ではなく、租税特別措置法の制度になっています。

租税特別措置法は特別措置というくらいですから時限立法の法律となり、期限が必ず設けられます。

ほとんどの制度は期限が到達するつど2年延長されたりして、存続していきます。もちろん途中で打ち切りになる制度もありますし、社会情勢を見ながらマイナーチェンジするものもあります。

現状は2042年の積み立てが最後ですから20年後に終了する制度になっています20年後になくなるかもしれない老後資金の準備の制度に20代の若者は魅力を感じるでしょうか?

20歳程度から70歳まで積立可能なように恒久化、又は随時延長して50年くらいは期間がある制度にしてほしいと思います。

 

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